【4月26日 CNS】中国の大手検索サイト「百度(Baidu)」の職業道徳委員会が21日、職員の重大な規律違反を通報した。同社の韋方(Wei Fang)元副総裁も汚職の疑いがあり、警察が取り調べ中だという。

 同委員会は「韋方容疑者は百度の清く正しい職業文化に違反しただけでなく、守るべき職業道徳の最低線を踏み外し、法律にも触れた」と述べている。

 韋方容疑者の経歴に関する公開データは少ないが、2015年当時に同社の財務総監だった韋方容疑者は、大手旅行サイトの運営会社「去哪儿(Qunar)」の董事に選任された記録がある。

 18年初頭、百度の財務副総裁に就任、財務・総務の責任者になると同時に、多くの系列会社で監事を兼任した。

 19年には同社の母体「百度在線網絡技術(北京)(Beijing Baidu)」の監事に就任。企業情報検索サイト「天眼査」のデータによれば、現在も北京百度網訊科技、百度(中国)、百度鵬寰資産管理(北京)など多くの系列会社で監事を務めている。

 同社では近年、総監級や副総裁級の中高級管理職を含む職員の規律違反・違法行為を激しく摘発してきた。委員会は19年8月、全職員に対し「職業道徳重大違反の処理通告」を出し、12件の重大違反を通告。これにより14人が退任、一部職員は刑事事件の容疑者として勾留、取り調べを受けた。

 当時の通告を見ると、上海大型顧客販売部、「百度号」など12の部門で、巨額の不正な個人利益獲得、「非公務員収賄罪」、供給業者への便宜供与による不正な手数料取得、架空経費の計上、社有技術の不正使用などが摘発されている。

 公開資料によれば、同社の監察部門の名称は「職業道徳建設部」、部内に委員会が設置されている。中核メンバーは企業内部監査、検察官、警察などのキャリアで構成され、独立性が高い組織となっている。

 同部が腐敗案件調査を行う時、調査対象部門のトップを通さず、直接調査を進め、直接最高幹部クラスに報告することができるという。

 実は百度に限らず、阿里巴巴(アリババ、Alibaba)と騰訊(テンセント、Tencent)にも同様の部門がある。阿里巴巴の「廉政部」は反腐敗の専門部門で、あらゆる人からの実名通報を受け付け、徹底的な調査を行うとしている。

 騰訊には「会社の高圧線」と称する6か条の規則があり、この規則に違反した場合は、軽くても免職、重いものは司法機関の裁きに委ねられる。6か条とは、故意の帳票改ざん、キックバックの授受、企業秘密漏えい、社業に対する競業行為、規律びん乱、給与など敏感な事項に属す情報を尋ねたり漏らしたりする行為。

 同社の社内腐敗監理部門は不正行為の報告を受け付け、調査を行って証拠を確認することを任務としている。

 百度の「職業道徳委員会」の動きを見る限り、頭文字を合わせ「BAT」と称されるインターネット企業大手3社、百度(B)、阿里巴巴(A)、騰訊(T)の反腐敗への取り組みは真剣だといえよう。(c)CNS/JCM/AFPBB News