【4月26日 AFP】米国では新型コロナウイルスの流行によって歓迎すべき状況が生まれているところもある。動物の保護・譲渡を行っている動物愛護施設だ。外出禁止令で家から出られない人たちが大挙して、保護施設から動物たちを引き取ったり、里親になったりしているという。

 全米約400か所の保護施設と提携している動物愛護NPO「ヒューメインソサエティー・オブ・ザ・ユナイテッドステーツ(Humane Society of the United States)」のキティー・ブロック(Kitty Block)代表は、「こんな状況は見たことがない。里親になったり、引き取ったりする人が急増している」とAFPに語った。「どこの保護施設からも同じ報告がされている。多くの命が救われるのは本当に素晴らしい」

 ブロックさんによると、新型ウイルス対策の外出制限のために、動物保護施設の多くも閉鎖を余儀なくされた。そこで里親募集を呼び掛けたところ、外出制限を家でやり過ごすためにペットを探していた全米各地の人々から大きな反響があり、犬、猫、ウサギ、モルモットからニワトリまでが新しい家を見つけることができた。

「犬を飼おうといつも言っていたけれど、今までチャンスがなかった」というカリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)在住の教師、ジャリーン・ヒラリー(Jalene Hillery)さんの一家は、雄のアメリカン・ピット・ブルテリアの「メーソン(Mason)」を引き取った。外出制限によって家族全員が家にいたので、スムーズに受け入れることができたという。

「まずは慣れさせて仲良くなって、しつけもして、とにかく楽しい」とヒラリーさん。休校で友達に会えず、また不安を和らげるために何かを必要としていた9歳と11歳の息子たちにとってメーソンは素晴らしい友達になったという。

 サンフランシスコの高齢犬保護・支援施設「マットビル・シニアドッグ・レスキュー(Muttville Senior Dog Rescue)」の創設者、シェリー・フランクリン(Sherri Franklin)さんは動物保護に携わってきた25年の経験の中で今ほど地域社会から支援を受けたことはないと言う。「(3月に)屋内待機令が出たとき、この施設には86匹の犬がいたが、48時間以内にその全てを里親の下へ移すことができた」

 フランクリンさんは現在のコロナ危機のように普段と違う、ストレスが多いときにペットを引き取ったり里親になったりすることは、動物と人間の両方にとって良いことだという。「今、犬を引き取るのは双方にとって有益だ。けれど、朝起きる理由を必要とし、世界とのつながりを必要とし、孤独感やストレスを和らげる何かを必要とする人間の方が、受ける恩恵が大きいかもしれない」 (c)AFP/Jocelyne Zablit and Vivian LIN