【4月25日 AFP】香港で中国本土の禁書を販売していた書店の店長を務め、中国当局から拘束された林栄基(Lam Wing-kee)氏(64)が25日、台湾で書店を再開した。

 林氏は昨年、香港政府が本土に容疑者の身柄引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案を発表したことを受け、台湾に移住。それから1年を経て「銅鑼湾書店(Causeway Bay Books)」を再開した。同条例の改正案は、現在撤回されている。

 林氏は、中国の指導者らのスキャンダル暴露本を扱う銅鑼湾書店の関係者で、2015年に中国本土で拘束されていることが後に明らかとなった5人のうちの一人。

 林氏は翌年、書店の顧客リストが入ったハードディスクを持って戻ることを条件に香港への帰還が認められた。だが保釈条件を破り、本土入りした後に警察からだまされ、数か月にわたって続いた尋問について暴露した。

 林氏は台北で新たに開店した書店で報道陣に対し、「再開はとても意義のあることだ」「銅鑼湾書店は暴力的手段によって中国に破壊された。この再開は、台湾が自由と民主主義の地であること、そしてわれわれにまだ本を読む権利があることを示す」と語った。

 ただこの書店をめぐっては21日、林氏がカフェにいた際に男から赤いペンキをかけられた。またこの前日には、同書店名ですでに商標登録済みだと主張する人物から、法的手段を取ると脅す手紙を受け取っていた。

 林氏を攻撃した人物は、林氏の書店再開に向けた資金調達プロジェクトが、台湾と中国の関係に「悪影響を与えた」と話したと伝えられている。

 中国政府にとって疎ましい存在である台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は、正義と公正を意味する中国語の一節を用いたメッセージと共に、開店祝いの花輪を贈った。(c)AFP/Amber WANG