【4月24日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)が起きている中、世界中が舞台となるトップレベルのテニス界は週を追うごとに不透明な状況に陥り、シーズンへの影響も深刻さを増す様相を呈している。しかしながら、各地域で大会を立ち上げ、できる限り早期の再始動を図る計画が持ち上がり、わずかな希望の光が差し込んでいる。

 男子のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、21日に行われたファビオ・フォニーニ(Fabio Fognini、イタリア)とのインスタグラム(Instagram)でのライブチャットで、「地域ごとの賞金大会が多くなると思う。直近はそういうことになる気がする」と話していた。

 現在のところ、テニスの活動停止期間は7月12日までとなっているものの、すぐにシーズンが再開すると確信している選手は少ない。そうした中で、すでに選手の練習再開が許されているオーストリアとドイツは、5月と6月に大会を開催する計画を発表し、男子はドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)をはじめ、フィリップ・コールシュライバー(Philipp Kohlschreiber)とジャン・レナード・ストラフ(Jan-Lennard Struff)のドイツ勢を含めた32人、女子は24人が参加すると明らかにした。

 フランスでは、ジョーウィルフリード・ツォンガ(Jo-Wilfried Tsonga)がコーチのティエリ・アシオンヌ(Thierry Ascione)氏と共に、同国南部でサマーツアーを行う考えを示しており、ユーロスポーツ(Eurosport)に対して、「このプロジェクトは、ツアーがさらに延期され、政府がこうした大会の開催を許可した場合に限り実施されるだろう。実現すれば、少しだけでも人々が一緒になれると思う」と語った。

 一方、女子のセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)のコーチを務めるパトリック・ムラトグルー(Patrick Mouratoglou)氏は、もっと野心的なアイデアを打ち出している。同氏はトーナメントではなくリーグ戦の開催を提案しており、5月16日から南フランスにある自身のアカデミーにおいて無観客で開催するとしている。このリーグでは「数百万ドル」の賞金が保証され、若者をターゲットに試合はオンライン配信されるという。

 複数のテレビ局で相談役を務めているムラトグルー氏は、特に同じ時間帯には他に生中継されるスポーツがないため、試合はテレビでも中継されると保証している。

「アルティメット・テニス・ショーダウン(UTS)」と呼ばれるリーグでは、5回の週末に各10試合が計画され、これまでにダビド・ゴフィン(David Goffin、ベルギー)、フォニーニ、ブノワ・ペール(Benoit Paire、フランス)、アレクセイ・ポピリン(Alexei Popyrin、オーストラリア)の計4人の出場が発表された。

 またラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)も、スペイン・マヨルカ(Mallorca)島に自身のアカデミーを開いている。アカデミーのコメント文によると、同選手は男子プロテニス協会(ATP)と協議し、「エリート選手が生活しながら練習し、プレーヤー同士で試合ができるキャンパス」をつくることを検討しているといい、「世界中のファンが楽しめるように試合はテレビ放送する」計画を立てているという。

 これまでツアーは無観客で再開する可能性が示されているものの、トーナメントの多くは採算を取るために観戦料が必要となっている。大きな大会であっても、空席の前で選手がプレーすることはイメージが悪く、先日フォニーニもジョコビッチに対して、「スタンドに誰もいない状態で、四大大会(グランドスラム)の決勝を戦うなんで想像できるかい?」と尋ねていた。(c)AFP/Igor GEDILAGHINE