■次は現地企業で働く個人が標的に?

 これまでに大勢の住民がカボデルガド州の州都ペンバ(Pemba)に避難し、友人や親族の元に身を寄せている。

 同州に配備されている兵士や特別警察部隊は、この過激派組織の制圧には成功していない。地元筋と治安問題の専門家によると、昨今の一連の攻撃を受け、政府に雇われた南アフリカの民間軍事会社が同組織を制圧する一環で複数のヘリコプターをこの地域に派遣している。

 カボデルガド州は膨大な埋蔵量の天然ガスがあり、世界のルビー産出量の最大80%を有している。国内の最貧レベルにありながら、天然資源が豊富にあることから、資源をめぐる紛争が勃発しやすい危険地域となっているのだ。

 仏エネルギー大手トタル(Total)はモシンボアダプライアから約60キロのパルマ(Palma)で、液化天然ガス(LNG)事業に250億ドル(約2兆7000億円)を出資している。

 これまでのところ、LNG事業が攻撃されたことはないが、事業運営にはすでに治安の悪化により暗い影が差している。

 前出のモリエジュヌー氏は、「戦闘員らは道路や、空港や港があり戦略上重要な町モシンボアダプライアを攻撃している」と語り、またLNG関連企業が近々、多数の下請け労働者を使って事業を開始する予定となっているが、「その個々人が標的にされる危険がある」と警告している。(c)AFP/Joaquim NHAMIRRE