台湾の軍艦で新型コロナ集団感染、対策に「重大な不備」と蔡総統が謝罪
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【4月23日 AFP】台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は22日、パラオでの親善任務を終えて帰還した海軍艦内で新型コロナウイルスの集団感染が発覚したことを受けて、軍の新型ウイルス対策に「重大な不備」があったとして謝罪した。
台湾の軍艦「磐石(Panshi)」がパラオ遠征から帰還した後、これまでに乗組員28人が新型コロナウイルス検査で陽性反応を示した。パラオは、台湾を「国」と承認し外交関係を結んでいる15か国の一つ。
蔡氏はテレビ演説で、「私は統帥(最高司令官)なので、わが軍の業務は私の業務であり、責任だ」「この任務中、海軍の(新型ウイルスの)パンデミック(世界的な大流行)対策に重大な不備があり、国民は今や新型ウイルスに感染するリスクを負っている。謝罪したい」と述べた。
台湾は、中国と地理的に近く経済的結びつきが深いにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染者がわずか426人、死者が6人にとどまっており、その新型ウイルスへの速やかな対応は手本に挙げられてきた。
さらに、マスクなどの保護具を欧州を含む海外に提供し、外交面で称賛を得てきた。
しかし、磐石での集団感染によって、こうした台湾の素晴らしい業績に傷がつく恐れがある。
台湾ではここ数日間、新型ウイルスのパンデミックにもかかわらず、海軍がなぜ任務を強行したのか、パラオ遠征中に一部の乗組員が発熱していた事実を当局が隠蔽(いんぺい)していたのかをめぐり、批判の声が高まっている。
磐石は3月15日にパラオに到着。その3日後に出港した。
4月9日に高雄(Kaohsiung)の港に帰還し、その6日後に乗組員の下船が許可された。
先週末に最初の感染者が確認された。当局は、乗組員の立ち寄り先や接触した可能性のある人々の特定を急いでいる。(c)AFP