■検査の不足や遅延

 INEDの人口統計学の専門家らによると、感染症が流行する中でのデータの収集や処理は、たとえペースを上げようと試みても作業にはどうしても時間がかかってしまうという。これについて専門家らは「すべての死者を正確に集計するには数週間から数か月を要する」と指摘する。

 スペインでは、出生・死亡の登録者数と葬儀数によって示される死亡率が、COVID-19の公式死者数から算出される死亡率に比べて異常に高くなっている。また、検査数が限られる中、死後のスクリーニングがほとんど実施されていないため、死亡する前にスクリーニング検査を受けていない人は保健機関による集計の対象にはならない。

■中国とイラン、虚偽に非難

 一部の国は、死者の統計を虚偽報告したとして非難されている。

 イランでは公式発表の死者数に対して、地方当局と国会議員らが異議を唱えている。これは特に流行が始まった時期に顕著に見られた。

 そして、2019年12月に新型コロナウイルス流行が始まった中国に関しては最近、同国の危機管理をめぐり圧力が高まっている。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、流行発生地の武漢(Wuhan)の死者数が大幅に修正された後でも、中国政府が国内の死者数に関する情報を隠蔽(いんぺい)していると非難している。(c)AFP/Jean-Philippe CHOGNOT / with AFP bureaus