【4月21日 AFP】中国政府の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)への対応をめぐり欧米諸国が圧力を強める中、ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は20日、新型ウイルスの流行について可能な限り透明性を確保するよう中国に求めた。

 メルケル氏はベルリンで記者会見を開き、「中国が新型ウイルスの発生源に関する情報をもっと開示していたなら、世界中のすべての人々がそこから学ぶ上でより良い結果になっていたと思う」と述べ、流行初期の情報をもっと開示するよう中国に求めた。

 マイク・ポンぺオ(Mike Pompeo)米国務長官を含む米高官は、最高水準の厳戒警備と安全対策が施された中国中部・武漢(Wuhan)の研究所からウイルスが流出したと主張しているが、根拠を示していない。ポンぺオ氏は、新型ウイルスが「世界に流出」した経緯について、調査を進めていると述べている。

 中国・武漢にある「武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)」は、同研究所からの新型ウイルス流出説を「あり得ない」と真っ向から否定した。

 中国当局は、新型ウイルスの流行を当初軽視していたと非難されてきたが、武漢当局は先週、死者数の集計において「誤った報告」や漏れが多数あったと認め、市の死者数をこれまでより50%近く多い数字に修正した。

 フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は先週、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、中国が新型ウイルスの流行にうまく対処していると「ばか正直」に信じてはいけないと警告。「われわれが知らないことが起きているのは明らかだ」と述べた。

 新型ウイルスに感染し療養中のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相の職務を代行しているドミニク・ラーブ(Dominic Raab)英外相は、「(新型ウイルスが)どのようにして発生し、なぜ早期に阻止できなかったのかという、厳しい質問をせざるを得ない」と述べた。

 オーストラリアは、世界保健機関(WHO)の危機対応を含め、パンデミックへの対応について独立の調査を実施するよう要求。マリス・ペイン(Marise Payne)外相は、昨年末の武漢における感染拡大への中国当局の初期対応などを調べる検証作業を「主張」する意向を明らかにした。(c)AFP