【4月21日 AFP】フランス東部で新型コロナウイルスに感染した9歳児が、発症後に3つの学校に通ったものの、他の児童の誰にもウイルスをうつしていなかったことが、最近発表された論文から明らかになった。論文を執筆した研究チームは、子どもの感染者はウイルスを広く拡散させない可能性があると指摘している。

 この児童は、同国での流行初期にオートサボア(Haute-Savoie)県で発生したクラスター(感染者の集団)で新型ウイルスに感染した。このクラスターでは、シンガポールから戻った後、スキー旅行で同県を訪れた英国人男性から12人にウイルスが伝染した。

 米医学誌「臨床感染症学(Clinical Infectious Diseases)」に今月発表された論文によると、児童は感染しているとは知らずに3つの学校に通学。症状は軽度だったが、発症中に172人と接触したことが確認された。

 接触者は全員隔離されたものの、児童のきょうだい2人も含め、新型ウイルスに感染した人はいなかった。一方、接触者の64%はインフルエンザなどの季節性ウイルスで陽性の結果が出た。

 研究チームは、今回の事例は「子どもがこの新型ウイルスの重要な感染源ではない可能性を示唆している」と述べている。(c)AFP