【4月19日 AFP】 チャドの拘置所で、ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」のメンバーとみられる収容者44人が死亡した状態で発見された。全員が同組織に対する軍事作戦の際に拘束された収容者で、毒殺されたとみられる。チャドの検事総長が18日、明らかにした。

 検事総長は国営テレビに対し、収容者44人が16日、監房内で死んでいるのが見つかったことを明らかにした。うち4人の遺体の検視を行ったところ、心臓発作や窒息状態を引き起こした致死性物質の痕跡が見つかったという。

 チャドのイドリス・デビ(Idriss Deby)大統領は3月末、チャド湖(Lake Chad)周辺での大規模な軍事作戦を開始。今回死亡したのは、この作戦で拘束された容疑者58人のうちの44人という。

 検事総長は、「チャド湖周辺での戦闘後、ボコ・ハラムのメンバー58人が捕虜として拘束され、捜査のためヌジャメナに移送された」と説明。「16日朝、看守らは44人の収容者らが監房内で死んだ状態で発見されたと話した」とし、自身も現場を訪れたと明かした。

 さらに、「40人の遺体を埋葬し、4人の遺体を検視のために監察医へ渡した」と説明。収容者らがどのように死亡したのかを正確に判断するため、現在捜査が行われている段階だという。

 その一方、匿名を条件に取材に応じた治安筋はAFPに対し、「収容者58人が1つの監房に収容され、2日間食べ物も飲み物も全く与えられなかった」と述べた。

 同国の人権団体の事務局長も同様の批判を展開。AFPに対し、「当局は捕虜を小さな監房に閉じ込め、食べ物や水を3日間与えなかった。なぜなら彼らがボコ・ハラムに所属していたとされるからだ」と話した。

 チャド政府は、こうした主張を否定。

 ジメ・アラビ(Djimet Arabi)法務・人権担当相はAFPの電話取材に対し、「虐待は一切なかった」と主張。「毒物が彼らの腹で見つかった。心中か何かが起きたのか? われわれは答えを求めている」とし、今も捜査中だと述べた。(c)AFP