【4月19日 東方新報】北九州市役所に先月24日、3750枚のマスクが中国から届けられた。箱の上には「一衣帯水、風雨同舟(訳:互いに隣人同士、一緒に困難を乗り越えよう)」の文字が書かれ、送り主は「日中専門家コンソーシアム」の中国側メンバーだ。彼らが中国で購入し、日本に送って来た10万枚のマスクは、厚生労働省の紹介でウイルスと戦う全国の地方自治体や関係機関18か所に寄贈され、北九州市は最後の寄贈先だった。

 先月13日から相次いで3万枚のマスクが寄贈され、最初の寄贈先は和歌山県湯浅町だった。湯浅町は日本で最も早く感染が確認された地区の一つで、医療物資が足りずに長らく苦境に置かれ、マスク不足はまさに焦眉の急だった。

「日中専門家コンソーシアム」は2019年に設立。日本と中国の法律、会計、税務、特許、投資などの領域の専門家を中心とする民間組織で、大部分のメンバーは両国で活躍中の華人だ。

 中国で感染が拡大後、日本政府と民間は積極的に中国に募金や物資を寄贈し、多くの中国人を励ました。日本の感染が日増しに深刻化する中、日中専門家コンソーシアムは、先月4日から検討し始め、10日には発表し、日本に対するマスク寄贈の公益活動がスタートした。

 この公益活動は日中専門家コンソーシアムなど複数の団体が共同で呼び掛け、約120人の篤志家が参加し、約25万元(約380万円)の募金が集まり、すべてをマスクの購入と郵送代に充てた。

 企画開始から、第1陣のマスクが和歌山県湯浅町に届けられるまでの日数はわずか6日間だった。メンバーらは、積極的に募金を行うほか、各自の友人などのルートで信頼できるマスクの供給者を探した。

 この時、中国国内のマスクの流通はすでに政府の統一管理下に入っており、しかも、原材料価格の暴騰により、マスクの価格は乱高下を繰り返し、急いでマスクが欲しいという焦りから金銭をだまし取られる事件が頻発していた。コンソーシアムは十数社のマスク業者の中から、比較的信頼でき、日本に輸出実績のある2社を選んだ。

 今回寄贈されたマスクは、主として家庭用マスクと一般的医療用マスクの2種類あり、2万7000枚が一般医療用マスク、7万3000枚が家庭用マスクだ。

 この10万枚のマスクは、厚生労働省のルートにより特別困難な地域に送られたほか、一部は北海道、京都、鎌倉などの中国人旅行客がよく行く都市に送られた。これらの都市は、ウイルスにより観光業が大きな打撃を受けているためだ。(c)東方新報/AFPBB News