【4月23日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で休校措置が続く香港で、移動式の音楽教室が登場した。

 香港の新型コロナウイルス流行は比較的抑えられており、感染者は1000人余り、死者は4人にとどまっている。それでも当局は社会的な隔離措置を強化しており、学校は1月下旬から休校のままだ。そうした中、教育サービスや家庭教師などもオンライン授業への切り替えを迫られている。

 しかし、ピアノ講師のエバン・カム(Evan Kam)さん(28)のように、講師と生徒双方の感染リスクを減らしながら、対面での個人レッスンを継続する人もいる。カムさんはAFPに「ビデオ経由の指導は、私たちにはあまり向かない。ピアノを弾くときの指の動きや身ぶりは、真横にいて指導した方がいいでしょう」と語った。

 カムさんが勤める個人指導センターは、香港で最初に新型ウイルスの感染が確認された2月以降、生徒が70%も減っている。多くの生徒が公共交通機関の利用を避けて、レッスンに来なくなったという。

 そこで、同社では3台のトラックをレンタルし、エアコンと防音措置を完備した移動式の音楽教室にした。移動式の図書館から着想を得たものだ。

 カムさんは4月上旬、中国本土との境界に近い香港北西部の人里離れた廈村(Ha Tsuen)を訪れた。トラックを止めると、カムさんは鍵盤を拭き、空気清浄機を設置する。玄関マットを消毒し、生徒のための手指消毒液も用意した。すぐにアルフレッド・タン(Alfred Tang)君(10)と妹のヨーヨー(Yoyo Tang)ちゃん(6)がやってきた。

 2人の母親はAFPに対し、こうしたレッスンは1週間のほとんどを家に閉じ込められている子どもたちにとって大きな楽しみになっていると話した。「学校は休校で街中にはあまり行かないため、子どもたちはほとんど家にいます」「うちから階下に行くだけでレッスンを受けることができるので、便利です」 (c)AFP/Yan ZHAO