【4月16日 AFP】英・オランダ資本の石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)は16日、2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現させると発表した。気候変動問題がエネルギー業界に大きく立ちはだかっている状況を受け、ライバル社の英石油大手BPも、数か月前に同様の目標を公表していた。

 シェルのベン・ファン・ブールデン(Ben van Beurden)最高経営責任者(CEO)は、「気候変動をめぐる議論において、社会からの期待は急速に変化した」とし、「シェルは今、自らの大志をさらに前進させる必要がある。そのために私たちは、2050年までに排出量実質ゼロのエネルギー事業となることを目指す。社会と私たちの顧客は、それ以下のことは期待していない」と発表した。

 同社によると、「遅くとも」2050年までに、全自社製品の製造における排出量の実質ゼロを達成する計画だという。

 今年2月にはBPも、2050年までに炭素排出量の「実質ゼロ」を達成するという目標を発表。しかし環境活動家らはこれを批判した。

 この発表に際し、国際慈善団体「アクションエイド(ActionAid)」の気候政策コーディネーター、テリーザ・アンダーソン(Teresa Anderson)氏はAFPに対し、BPの発表は「これまで通りの事業を継続しておきながら、環境への配慮を進めていると主張するために」あいまいな「実質ゼロという目標を利用する」ことが、企業にとっていかにたやすいことかを表す教科書的な実例だと述べた。

 アンダーソン氏は、BPが石油と天然ガスからの排出量をどう相殺していくのか、詳細な計画を示していない上、制御不能な地球温暖化を回避するために科学者らが必要と訴える内容に即した短期的な削減目標も発表していないと指摘している。

 地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」は、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えることを目指しているが、汚染主体が化石燃料の使用を本当に断ち、排出量を減らし、「真にゼロ」に向かって前進していくことが必要だと、アンダーソン氏は話している。(c)AFP