【4月16日 AFP】自転車ロードレースの三大ツール(グランツール)の一つ、ツール・ド・フランス(Tour de France)の主催者は15日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に伴うロックダウン(都市封鎖)の影響により、当初予定されていた6月27日の開幕を延期し、今年の大会を8月29日から9月20日にかけて開催すると発表した。

 大会を主催するアモリ・スポル・オルガニザシオン(ASO)は、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が大規模集会の禁止を7月中旬まで延長したことを受けて新たな日程を発表した。

 このニュースに各チームやファンは胸をなで下ろしており、ツールで4度の総合優勝を誇るクリス・フルーム(Chris Froome、英国)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による封鎖措置に苦しむ人にとって「暗いトンネルの先にある光」だとして今回の決定を歓迎した。

 3週間に及ぶレースは伝統として夏季休暇の期間に開催され、沿道の観客数はのべ約1200万人が見込まれるが、日程変更によりこの期間を外れることが決まった。

 なお、ツール最終日の9月20日は、延期されたテニス四大大会(グランドスラム)の一つ、全仏オープン(French Open 2020)の開幕日と重なっており、さらに延期となっている多くのスポーツイベントが秋に集中する可能性が心配されている。

 ASOのクリスティアン・プリュドム(Christian Prudhomme)代表は、新たな日程は二つの根拠に基づいているとAFPに話した。

「可能な限りパンデミックから距離を取りたかった。そして大統領は大規模集会の禁止を7月中旬までとしたが、ライダーがコンディションをピークに持っていく時間を与えることがより妥当性が高いと判断した」

 日程は変更されたものの、ルートは当初の予定通りとなっており、ニース(Nice)をスタートしてパリでゴールする。プリュドム代表は、「それでもツールはツールだ。われわれが掲げたチャレンジは損なわれていない」とし、観客が心待ちにする山岳ルートに変更はないとした。

 今回の日程変更により、ASOはツールの前哨戦で、新型コロナウイルスの影響で延期となったクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(Criterium du Dauphine 2020)を開催する時間的猶予を手にした。

 国際自転車競技連合(UCI)は、5月の開催が延期となったジロ・デ・イタリア(Giro d'Italia 2020)がツールの後に開催され、さらにその後でブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a Espana 2020)が行われるとし、日程は5月に発表するとしている。(c)AFP/Damian MCCALL