中国でコロナめぐる差別、アフリカ諸国が猛反発「容認できない」
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【4月15日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)をめぐり、中国でアフリカ人らがレッテルを貼られたり差別されたりしている問題を受けて、アフリカ諸国が猛反発している。
この問題の引き金になったのは、広東(Guangdong)省広州(Guangzhou)にあるナイジェリア人が多く住む地区で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のクラスター(感染者の集団)が発生したことだとみられている。
アフリカ系住民らはレストランやホテルで差別され、強制的な退去や集団検査、恣意(しい)的な隔離などの対象になっていると訴えている。
ナイジェリアのジオフリー・オンエアマ(Geoffrey Onyeama)外相は14日、周平剣(Zhou Pingjian)駐ナイジェリア中国大使に対し、「われわれは身の回りの物を持って、路上で寝起きしているナイジェリア人の映像を見た。もちろん、本国にいる私たちにとって痛ましくてならないものだ」と伝えた。さらに、ナイジェリア政府および国民はこうした状況を「容認できない」と述べ、中国当局に直ちに対処するよう要求した。
アフリカ連合(AU)も11日、広州の状況に「極めて強い懸念」を表明し、中国政府に対して直ちに是正措置を取るよう求めた。
外交筋によると、アフリカの約20か国が、アフリカ人に的を絞った集団検査や隔離措置は「人種差別」に等しいとして、中国政府に抗議する共同書簡を作成している。「口上書」と呼ばれる外交文書の形式で作成された草案には、こうした措置は「明らかな人権侵害」だと書かれているという。
■人種差別問題
人口1500万を抱える広州の市当局は、新型コロナウイルス感染症と診断された少なくとも8人が「リトルアフリカ(Little Africa)」と呼ばれる越秀(Yuexiu)区に滞在していたと発表している。
うち5人がナイジェリア人で、隔離義務を破り、自宅にとどまらずレストラン8軒やその他の公共施設を訪れていたと報じられ、中国で大きな怒りが広がった。
AFPの取材に応じた複数のアフリカ人は、住んでいた家を強制的に退去させられ、ホテルからも宿泊を拒否されていると語った。うち一人は、橋の下で4日間寝起きし、どの店に行っても食料を売ってもらえないと訴えた。
国際社会の圧力が強まる中、中国外務省は12日に声明を発表し、中国は「外国人の生活と健康を非常に重視」しており、人種差別や差別発言は一切容認しないと述べた。(c)Celia LEBUR with the AFP bureau in Beijing