【4月15日 東方新報】中国農業農村部は9日、食用や酪農用、毛皮用などの動物リスト案を新たに公表した。この中で「犬は人類のパートナー」として、中国の一部で食用とされている犬をリストから除外した。インターネット上では賛否両論となっている。

 中国では2月下旬、全国人民代表大会(国会に相当)の常務委員会が野生動物の食用禁止を決定した。新型コロナウイルスが湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の海鮮卸売市場で販売されていた野生動物から人に感染した恐れがあるとみられるためだ。そして、この決定の後も「どの動物を食べていいのか」が議論されてきた。

 今回のリストでは、「伝統的家畜類」として、豚、牛、コブウシ、水牛、ヤク、ガヤル、羊、ヤギ、馬、ロバ、ラクダ、ウサギ、ニワトリ、カモ、ガチョウ、シチメンチョウ、ハト、ウズラの18種、「特殊家畜類」として、ニホンジカ、アカシカ、トナカイ、アルパカ、ホロホロチョウ、キジ、シャコ、マガモ、ダチョウ、ミンク、ギンギツネ、ホッキョクギツネ、ムジナの13種を挙げている。アカシカやトナカイなどは一部の少数民族が食用としているためリストに入れ、ミンクやキツネ、ムジナなどは毛皮としての対象となっている。

 この31種を選んだ基準として「人工繁殖の方法が確立している」「食品の安全、衛生面が保障されている」「民族習慣の尊重」「国際的慣習に基づく」の4原則を挙げている。

 そして、犬については「人類の文明の進歩と動物保護に対する関心の高まりを受け、犬はすでに伝統的な家畜からパートナーの動物へと変わった。国際的に広く家畜とは認識されておらず、中国も家畜として管理すべきでない」とリストから外した理由を説明している。

 中国では、犬食は東北部や南部の広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)など一部地域に限定されており、その地域でも若い世代はあまり食べなくなっている。さらに中国の急激な経済成長に伴い、犬をペットにする家庭も急増している。犬と一緒に散歩するのが「小康(少しゆとりがある)ライフ」の象徴にもなっている。そのため今回のリスト案は、ネット上で「やっと犬が正しい地位に就いた!」「古い文化を追放しよう」と評価する意見が多い。
 一方で「アジア圏では、犬を食べる国は多い。『国際的慣習に基づく』とは西側諸国への屈服だ!」「『民族習慣の尊重』というなら、犬食は朝鮮族の文化ではないのか」などの反対意見も根強い。犬肉は体を温めて滋養があるといわれ、「寒い冬に、犬鍋でゆっくりと体を温める。あの至福の瞬間を奪わないでくれ」という声もある。

 農業農村部が今回挙げた動物リスト案は、5月8日まで1か月間、市民から意見を募集するとしている。よほど多くの反対意見がなければこのまま決定するとみられ、犬は正式に「人のパートナー」として公認されることになる。(c)東方新報/AFPBB News