【4月13日 AFP】スリランカは12日、新型コロナウイルスによる死者の火葬を義務化した。同国の少数派であるイスラム教徒からは、火葬がイスラム教伝統の埋葬方法に反するとの抗議の声が上がっていたが、これを無視した形だ。

 これまでに同国で新型コロナウイルス感染により死亡した7人のうち、3人がイスラム教徒だった。当局は、遺族からの抗議を受けていたにもかかわらず、遺体を火葬した。

 パウィトゥラ・ワンニアラッチ(Pavithra Wanniarachchi)保健・伝統医療相は12日、「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって亡くなった、または亡くなったとみられる人の遺体は、火葬されるものとする」と発表。

 世界保健機関(WHO)は、同感染症による犠牲者を「埋葬または火葬することが可能」としている。

 全国的に無期限の外出禁止令が発令されているスリランカでは、これまでに200人以上が新型コロナウイルス検査で陽性結果を示している。

 火葬をめぐっては、人権団体も非難している。国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)のビラジ・パトナイク(Biraj Patnaik)南アジア代表は今月、「この困難な時こそ、当局はコミュニティーの分裂を深めるのではなく、団結させるべきだ」と指摘した。

 スリランカの人口約2100万人の10%を占めるイスラム教徒を代表する同国の主要政党は、宗教儀式や遺族の願いを「無神経に無視している」として政府を非難している。(c)AFP