【4月13日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が起こり、世界中でスポーツイベントが止まる中、その流れに逆らうかのように台湾で野球の新シーズンが開幕した。

 中国と距離的に近く、交易でも関係の深い台湾だが、新型ウイルスが世界をのみ込む中で、これまでのところウイルスの封じ込めに成功している。

 政府は感染拡大が明らかになると、すぐに出入国を制限し、検査や接触相手の追跡、隔離を徹底した。こうした策が功を奏し、危機発生から100日ほどがたつ中で感染者数は400人以下にとどまり、死者はわずか6人。宗教行事などの大規模集会は中止になったが、学校やオフィス、レストラン、バーはおおむね開いている。

 そうした中で12日、31回目の台湾プロ野球(CPBL)のシーズンが開幕し、中信兄弟(Chinatrust Brothers)と統一セブンイレブン・ライオンズ(Uni-President 7-Eleven Lions)が対戦した。

 野球は台湾で一番人気のスポーツで、今季は全240試合を開催する予定になっている。ファンは入場できず、無観客での開催となっているが、選手らは島内を移動し、試合は生中継される。

 シーズンはもともと、11日の楽天モンキーズ(Rakuten Monkeys)対中信兄弟の試合が開幕戦になる予定だったが、大雨のため中止になった。それでも球場では、スタンドにロボットマネキンや、ユニホームとキャップ姿のファンの等身大パネルを置く案が披露され、マネキンの中には客席で太鼓をたたくものもあった。

 リーグは、新型ウイルスのパンデミックの中で「われわれは世界に先駆けて開幕するプロ野球リーグとなる」「すべての人を歓迎する。われわれの新たな2020年シーズンを追い、感染拡大による緊張から解放される瞬間にしてほしい」と発表した。

 ファンの中には選手やスタッフの安全面を不安視する人もいれば、無観客とはいえ野球が見られることを喜ぶ人もいる。

 リーグのフェイスブック(Facebook)ページには、「選手はどうやって距離を保つ? クラスター感染が起こったらどうするの? バカなことはやめてくれ」「なんで無観客で試合を開催するのか。米大リーグ(MLB)や東京五輪も延期になったのに」といったコメントが寄せられた。

 その一方で、「野球が見られて最高」「海外のプロ野球にとっての先例になるだろう」とSNSでコメントするファンもいる。

 世界のほとんどの地域と違って、台湾では他にもバスケットボールとサッカーのリーグが無観客で続いている。(c)AFP