【9月3日 AFP】野球の国際大会で「台湾はチャイニーズ・タイペイ(中華台北、Chinese Taipei)ではない」と書かれたバナーを掲げ、球場から追い出されたファンが、台湾アマチュア野球協会(CTBA)を相手に訴訟を起こした。

 独自政府を持つ台湾は、領有権を主張する中国政府の圧力により、五輪などスポーツの国際大会では、「中華民国(Republic of China)」の名称や、台湾旗を使用する代わりに「チャイニーズ・タイペイ」の名の下に出場しなければならず、問題のバナーはその不満を反映したものとなっている。

 訴えを起こした5人の大学生は、台湾・台中(Taichung)市で先月31日に行われた第11回BFA U-18アジア選手権(2016 XI BFA U-18 Baseball Championship)の台湾対日本の試合中に政治的バナーを掲げ、CTBAの係員ともみ合いになり、球場から強制退場させられた。

 この事件の様子がインターネットの動画で流れると、CTBAは謝罪したものの、国際大会では政治的バナーの持ち込みについては、国際オリンピック委員会(IOC)の規則で禁止されていると強調した。

 一方、原告の代理人は声明で、「係員がつかみかかってきて、バナーを破壊した。学生たちはこの行為を表現の自由を害するものと深刻にとらえ、器物損壊と強制行為で提訴した」と発表した。

 内戦により1949年に分断して以降、外交的対立が続いている台湾と中国の間では、名称や呼称については非常にデリケートな問題となっている。

 今年6月に行われたアジアカップ(AFC Asian Cup)予選の台湾対カンボジアの試合では、ファンが独立派の旗を持ち込んだり、「台湾独立」や「台湾はチャイニーズ・タイペイではない」というスローガンを掲げたりするのを制止できなかったとして、チャイニーズ・タイペイサッカー協会(CTFA)がアジアサッカー連盟(AFC)から5000ドル(約52万円)の罰金処分を科された。

 AFCは処分の理由として、国際サッカー連盟(FIFA)の規則により、国際大会では政治や宗教または攻撃的なスローガンを掲げることは禁止されているためと説明している。

 香港サッカー協会(HKFA)もまた、昨年11月に行われた2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)のアジア2次予選で、中国国歌が流れた際にファンがブーイングを行った責任を問われ、今年に入って処分が下されている。

 中国政府の引き締めが厳しさを増す懸念が広がるなか、半自治政府が統括する台湾などでは、政治的な緊張が高まっている。(c)AFP