【4月11日 AFP】ブラジル当局は10日、アマゾン(Amazon)の熱帯雨林に暮らす先住民族ヤノマミ(Yanomami)の少年が、新型コロナウイルスに感染して死亡したことを明らかにした。外界から隔絶された環境に住むヤノマミは疫病に弱いことが知られており、懸念する声が上がっている。

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 当局によると、死亡した15歳の少年はヤノマミにおける初の感染者で、1週間前に北部ロライマ(Roraima)州の州都ボアビスタ(Boa Vista)にある病院に入院し、集中治療室で治療を受けていた。

 ブラジル保健省は、少年が深刻な呼吸器合併症により、9日夜に死亡したと発表した。

 アマゾンの熱帯雨林で孤立して暮らす先住民たちは、外界から持ち込まれた疫病に特に脆弱(ぜいじゃく)とされる。ヤノマミの権利擁護団体「フトゥカラ協会(Hutukara Association)」は、死亡した少年が発症後「多くの」先住民と接触していたと述べた。

 さらに、少年が呼吸器系の症状で最初に病院を訪れてから2週間以上、適切な診断を受けていなかったとし、「不十分な治療」が少年の死の原因になったと訴えた。

 同団体は当局に対し、少年と接触した人々を追跡し、検査を受けるための支援を要請するとともに、先住民の土地にいる違法な金鉱労働者を取り締まるよう求めた。同地では金鉱労働者が新型コロナウイルスを持ち込んだと考えられている。

 ブラジルには推定80万人の先住民が300以上の部族に分かれて暮らしている。ヤノマミはフェースペインティングや手の込んだ耳飾りで知られ、人口はおよそ2万7000人。

 20世紀半ばまで外界との接触がほとんどなかったが、1970年代にはしかやマラリアの流行で壊滅的な被害を受けた。(c)AFP