新型コロナパンデミック、失われたそれぞれの人生
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■「とても若かった」…サラ・ブラボ・ロペス(Sara Bravo Lopez)さん(28)
サラ・ブラボ・ロペスさんは、スペイン中部の小さな町の若い医師だった。
先月28日にサラさんが亡くなったマンチャセントロ・デ・アルカサル・デ・サンファン(Mancha Centro de Alcazar de San Juan)病院の広報担当者は、「彼女は、新型コロナウイルスにより28歳で早世した。尋常ではない」と述べた。
サラさんは、首都マドリードとバレンシア(Valencia)の間に位置する人口6000人の町モタデルクエルボ(Mota del Cuervo)で患者の治療に当たっていた。同病院の広報担当者はAFPに対し「彼女は村の隣人たちや、医療センターの同僚たちにとても好かれていた」と話した。
スペインでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった医療従事者が1万2000人に上っており、サラさんもその一人だ。新型ウイルスの治療に必要な集中治療室のベッドや防護服が足りず、医療従事者らが緊急支援を要請している。
■ネットで中傷され…ヴォイチェフ・ロキタ(Wojciech Rokita)医師(54)
ポーランドでは、新型ウイルスによる影響はこれまでのところ限定的だが、このウイルスが間接的に人の命を奪うこともある。尊敬されていた医師が感染し、複数の人に感染させたという中傷メールを送り付けられて自殺したのもその一例だ。
ヴォイチェフ・ロキタ医師は、同国中部キエルツェ(Kielce)の病院に付属する婦人科クリニックの院長だった。3月中旬、スイスから戻った直後に新型コロナウイルスの症状を自覚し、自主隔離した。
ロキタさんの健康状態は良さそうだった。病院も地方当局も、ロキタさんは患者やスタッフと接触していなかったとしている。
しかし、ロキタさんは検査へ行く前に自動車販売店に立ち寄っていたとする匿名の通報が寄せられ、ネット上には悪意に満ちた書き込みが相次いだ。
病院は3月18日、ロキタさんの訃報を伝えた。死因については、新型コロナウイルス感染症と「直接的な」関係はないとのみ説明され、その後、自殺だったことが明らかになった。遺族はネットでの批判がロキタさんの死の引き金になったとして法的手段を取る意向を示した。(c)AFP/Kelly VELASQUEZ with AFP bureaus