【4月10日 AFP】世界保健機関(WHO)は9日、新型コロナウイルスの感染者が増加しているアフリカ大陸で、集中治療室(ICU)のベッドと人工呼吸器の不足が危機的状況にあると警鐘を鳴らした。

 WHOは、アフリカ43か国で集中治療室のベッドが5000床に満たないとした上で、「人口100万人当たりのベッド数は、欧州の4000床に対し、こうした国々は5床前後となっている」と明らかにした。

 新型コロナウイルス感染症の重症患者は多くの場合、集中治療室に入り、人工呼吸器を使用される。

 しかしWHOによると、アフリカ41か国では、公的医療機関で利用できる人工呼吸器は2000台に満たない。

 WHOアフリカ地域事務局のマチディソ・モエティ(Matshidiso Moeti)局長は、「アフリカでは、新型コロナウイルス感染症の重症患者用の治療設備不足が危機的状況にある」と述べた。

 AFPの集計によると、アフリカ大陸ではこれまでに合わせて1万1500人の感染者が確認され、うち570人超が死亡した。

 アフリカの多くの国々は新型ウイルス対策として、大規模集会や渡航の禁止、大都市のロックダウン(都市封鎖)といった措置を取っている。

 しかし、WHOは9日、新型ウイルスが大都市だけでなく、より医療機関を受診しにくい地方部にも拡散していると警告。モエティ氏は地方部での新型ウイルス対策について、「アフリカの既に緊迫した状況にある医療制度にとって、とてつもなく大きな課題となる」と述べた。(c)AFP