【4月8日 AFP】新型コロナウイルス感染拡大による製造工場の閉鎖や流通の混乱で、世界的なコンドーム不足が懸念されている。すでに世界最大のコンドームメーカーであるマレーシアの「カレックス(Karex)」が生産減に追い込まれており、国連(UN)は「破滅的」な影響を及ぼしかねないと警鐘を鳴らしている。

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 世界最大のゴムの産地で、コンドームの主要生産国でもあるマレーシアは先月、新型コロナウイルスの感染者数が東南アジアで最多クラスとなったことを受け、全国規模のロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。

 世界で販売されるコンドームの5分の1を生産するカレックスも生産活動が制限され、3月中旬から4月中旬までの生産数が例年より2億個少なくなる見通しだという。

 カレックスのゴー・ミア・キアット(Goh Miah Kiat)最高経営責任者(CEO)はAFPに対し、流通の問題で他のメーカーも商品の市場投入が困難になっており、今後コンドーム全体の供給が大きな打撃を受けると指摘。「世界は確実にコンドーム不足という状況を目の当たりにするだろう」と見通しを述べた。

 カレックスは支援プログラムによる配給を目的に、多くの企業や政府にもコンドームを供給しているが、マレーシア国内の3か所の工場はロックダウン開始からしばらく、閉鎖を余儀なくされた。

 国連人口基金(UNFPA)によると、新型コロナウイルスの影響で同団体へのコンドームの供給は例年の5〜6割にとどまっている。

 UNFPAは「コンドームなどの避妊具の不足は意図しない妊娠の増加につながりかねず、さらに未成年の少女や女性、パートナー、家族に破滅的な健康および社会的な影響を及ぼす可能性もある」と指摘。また危険な中絶や性感染症、エイズウイルス(HIV)感染が増加する可能性もあるという。

 ただ、工場の操業停止や出入国制限でコンドーム業界が混乱に見舞われている一方、需要は増加傾向にあるようだ。

 インドでは全人口13億人に対して外出禁止が発表された後、コンドームの売り上げが1週間で25〜35%増になったと報じられている。世界的に外出制限が続いていることから、カレックスはコンドームの需要は今後増加すると見込んでいるという。(c)AFP/Sam Reeves, with Beiyi Seow in Beijing