【4月8日 CNS】4日から6日までの「清明節」の3連休、新型コロナウイルス感染症の流行のため抑制されていた人々の旅行に対する情熱は、無料券や消費券の刺激を受け、一挙に火が付いた。各地の観光地は人であふれかえり、一部は入場制限を行った。

 公表された画像を見ると、安徽省(Anhui)の黄山(Huangshan)景勝地では人があふれ、5日には入山者が上限値の2万人を超えたため、観光客の入場を停止したほどだった。

 黄山以外にも、各地の観光地を訪れた観光客は急激に増加。杭州市(Hangzhou)西湖(West Lake)で無料開放された16の有料景勝地にはのべ15万4600人が訪れた。

 旅行人気の回復は、各地で進められた入場無料や消費券などの消費刺激策が背景にある。

 黄山市は1日から14日までの間、安徽省の住民を対象として、有効期間2週間の「江淮地方巡り」優遇活動を進めている。身分を証明できる書類(身分証、戸籍簿)を提示すれば、黄山市指定A級景勝地の入場料が無料となる。

 厦門市(アモイ、Xiamen)は、2020年6月30日までの期間、国有A級景勝地を市民に無料開放し、厦門市の旅行業者が組織した福建省(Fujian)の旅客が同市内で宿泊する場合、一人あたり第1泊30元(約460円)、第2泊50元(約770円)、第3泊80元(約1230円)をそれぞれ補填(ほてん)するとしている。

 旅行業の回復のため、各地は一生懸命なのだ。

 効果はすでに表れている。旅行プラットフォームの「携程(シートリップ、Ctrip)」が7日に発表した「2020清明連休回復報告」によると、4月の周辺旅行商品の予約者数は3月の3倍となり、入場券の事前購入も人気だ。営業再開済みでネット予約可能な景勝地は2800か所、その内5A景勝地は140か所を超える。この一週間で、中国国内の入場券販売は前期比で114%増となった。

 同報告では、清明節連休の出足から見ると、観光業の回復は加速化しており、清明節終了後の5.1メーデー連休には、また新たな旅行ピークが訪れるとしている。

 中国旅游研究院によると、春節後から現在に至るまで、都市と農村の住民は、自宅隔離プラス在宅勤務の生活が2か月を超え、外出願望が強いと分析。感染症の情勢は良い方向に向かってはいるものの、一部地域では新たな感染が散発的に報告されているので、警戒を解いてはならない。気持ちの「緩み」は許されない。観光地に押し寄せた観光客の波は「緩み」の表れ、と警鐘を鳴らす。

 中国工程院の感染症権威、鐘南山(Zhong Nanshan)院士は5日、「中国は低リスクの段階に入ったが、経営と教育の早期再開のためには、引き続き互いの距離を保持し、集会や会食には参加せず、多くの人が集まる場所には行かないように」と呼びかけている。(c)CNS/JCM/AFPBB News