マダガスカルの「抗ウイルス発酵食品」、飛ぶような売れ行き
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【4月8日 AFP】マダガスカルの市場に立つニリーナ・ラボロナ(Nirina Ravolona)さん(55)は、自然発酵食品の秘密のすべてを知っている。そのラボロナさんが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に絶対に効くと売り込む方法に疑いを持つ人はいない。
「ショウガとレモンとタマネギをまぜれば、そのウイルスを打ちのめす」と、ラボロナさんは20年に及ぶ経験から断言する。「辛い食品」も免疫システムを強化し、恐ろしい病原菌を妨ぐことができると勧める。
そうした主張に医学的裏付けはまったくない。だが、首都アンタナナリボのアンボディボナ(Ambodivona)市場でラボロナさんを「マダム・ニリーナ」と丁重に呼ぶ客たちには、疑いのかけらもない。「マダガスカルの人々は伝染病が流行するたびに民間療法に頼る。それが私たちの伝統」だとラボロナさんはいう。
昨年12月に最初に確認されて以降、世界の新型コロナウイルスの感染者数はこれまでに180万人以上となり、死者は11万人を超えている。
マダガスカルのアンドリー・ラジョエリナ(Andry Rajoelina)大統領は、同国の2大都市にロックダウン(都市封鎖)を発令した。だが、貧しい市民らは、自宅待機令をおおむね無視している。多くの人にとって家族を養う必要性は、死に至るかもしれないこの病に感染する恐怖に勝るのだ。
■レモンとショウガに殺到
アンボディボナ市場は今週、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)を新たな商機としたがる行商人でいっそうにぎわっていた。
いつもはショウガだけを売っているある行商人は、「大統領が新型コロナウイルスの感染を初めて発表してから、みんながレモンとショウガを買いに走った」と語った。わずか数日のうちに、レモンの値段が1キロ当たり2000マダガスカル・アリアリ(約60円)から3倍の6000アリアリ(約180円)に上昇した。ショウガの値段は10倍になった。
この行商人にとって、いわゆるコロナウイルス自然療法をめぐる騒ぎは、他のさまざまなものと同様、単に一つの商売の機会にすぎない。「どのみち、このコロナウイルスのことはあまり真に受けてないんだ」と彼は語った。