【4月7日 AFP】オーストラリア最高裁は7日、少年に対して性的虐待を加えた罪に問われたローマ教皇庁(バチカン)元幹部の枢機卿ジョージ・ペル(George Pell)被告(78)の上告審で、下級裁判所による実刑判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。ペル枢機卿は同日、収監先の刑務所から釈放された。カトリック教会をめぐる児童虐待問題において、最も注目を集めていた裁判は突然の結末を迎えることとなった。

 最高裁は「必要十分な基準の証拠に基づいて有罪が立証されていないため、無実の被告が有罪判決を下されていた可能性が大きい」と判断。

 また、下級裁判所が「違法行為がなされなかったという、合理的な可能性が残っている問題と向き合わなかった」と指摘。判事7人はこの判断を満場一致で支持した。

 ペル枢機卿は1990年代に13歳の少年2人に性的虐待を行ったとして、2018年12月に5件の罪で有罪判決を受けた。昨年8月にビクトリア(Victoria)州で行われた控訴審も、一審判決を支持していた。

 枢機卿は裁判で一貫して無実を主張しており、無罪判決を受けて「深刻な不正」が是正されたとの声明を発表した。(c)AFP/Holly ROBERTSON