■先天性免疫系を「訓練」

 オランダの臨床試験では、医療専門家ら500人にBCGを、500人にはプラセボ(偽薬)をそれぞれ接種する。ネテア教授は、今回の流行期間中にBCGワクチン接種グループでの感染者が少なければ、結果は有望と考えることができると述べる。

 臨床試験実施の発表に際してラドバウド大は、BCGワクチンが新型コロナウイルスを直接的に防ぐわけではなく、免疫系を高めることで抵抗力の向上と感染の軽減につながる可能性があると説明している。

 これは、特にBCGや麻疹などのような病原性を低下させたウイルスがごくわずかに含まれる弱毒化ワクチンによって、攻撃に対してより効果的に対抗できるよう先天性免疫系を「訓練」して準備するイメージだ。

 COVID-19の場合、ウイルス自体の感染に加え、一部の患者では過剰な免疫反応が起こり「炎症性サイトカイン」と呼ばれるタンパク質の産生が制御不能となる。

 INSERMのリサーチディレクターを務めるローラン・ラグロ(Laurent Lagrost)氏は、「ワクチン接種、特にBCGワクチンは、この炎症免疫反応の調整を改善する助けになる可能性がある」と述べる。同氏は炎症と免疫系の関連性に関する研究に取り組んでいる。

 この他、オーストラリアでも医療従事者約4000人を対象とするBCGワクチンの臨床試験が、豪小児医療研究所「マードック・チルドレンズ・リサーチ・インスティチュート(Murdoch Children's Research Institute)」によって始まっている。(c)AFP/Amélie BAUBEAU