【4月6日 AFP】アスパラガスのスープにチーズ入りプロフィトロール(小型のシュークリーム)、フワフワのチョコレートムース──。フランス東部ディジョン(Dijon)の病院では、5人の日本人シェフらが、新型コロナウイルス感染患者の治療にあたる医療スタッフらに料理を届けて感謝を伝えた。

 首都パリから車で約2時間の場所にあるレストラン、シャトー・ド・クルバン(Chateau de Courban)でシェフを務める木下隆志(Takashi Kinoshita)さんは、「これは『ありがとう』の気持ちです」と語る。シャトー・ド・クルバンはレストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で星を獲得したレストランだ。

「日本では、自然災害や健康に関わる大惨事が起きると、自分たちに何ができるかを考える。人は常に他の人たちのことを考えなければならない」と木下さん。シャトー・ド・クルバンは、フランスが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)との闘いで3月半ばに全土封鎖に入った時、店を閉めた。

 木下さんは先週、最前線で闘う病院スタッフらに料理約100皿を提供する運動を始めた。

 AFPの取材に木下さんは「それ以降、日本のシェフ仲間たちが私に電話をしてきて、参加してくれた。各人がそれぞれ料理を用意するのです」と語る。

 5日の食事はディジョンの大学病院外にある駐車場で振る舞われた。木下さんによると、封鎖時のソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の「ルールを守るために」病院の本館から安全な距離を取ったという。

 木下さんは、病院のスタッフからたくさんの感謝のメッセージをもらったと話した。

「ありがとう、(仕事を続けられるよう)力づけてくれて」などの言葉だったという。(c)AFP