【4月5日 AFP】中国の著名な人権派弁護士、王全璋(Wang Quanzhang)氏(44)が約5年の刑期を終えて出所した。妻の李文足(Li Wenzu)さんが5日、明らかにした。

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 王氏が拘束されたのは、習近平(Xi Jinping)国家主席が権力基盤を固める中、弁護士や政府への批判者200人超に対して一斉取り締まりが行われた2015年だった。

 妻の李さんによると、王氏はまだ首都北京の家族の元へ帰っておらず、新型コロナウイルスの予防措置として14日間隔離するため、同国東部山東(Shandong)省にある同氏の所有物件へ連れていかれたという。

 北京で息子と共に暮らす李さんはAFPに対し、王氏は出所したにもかかわらず自宅軟禁となり、監視下に置かれることを恐れていると語った。

 李さんは「(当局は)一つ一つ私たちにうそを積み重ねていると思う」と述べ、「関連する法的指針に従って夫は北京の自宅に戻ることができたはずだったが、(当局は)14日間隔離するという理由で、感染拡大を口実に使った」と続けた。

 AFPは5日、刑務所へ電話をかけたが応答はなく、山東省の司法当局にも問い合わせたが反応はなかった。

 王氏はまず、2015年7月9日に開始されたことから「709事件」と呼ばれる一斉取り締まりで拘束され、2019年1月になって初めて、非公開の裁判で国家政権転覆罪により懲役4年6月の実刑判決が言い渡された。

 政治活動家らや土地収奪の被害者らの弁護を担当していたことで知られる同氏は、裁判が始まるまで外部との連絡を遮断されたまま拘束されていた。

 夫の釈放のため辛抱強く運動を繰り広げてきた李さんは「彼らが夫を長期間自宅軟禁下に置いて、私たちが家族として一緒になるのを妨げようと計画しているのではないかと本当に心配している」と語った。(c)AFP