【3月1日 AFP】新型コロナウイルス対策のために取られた過酷な措置の下で苦しむ中国の人々は、国内の少数民族に対して同じような手段が何年にもわたって取られてきたことを認識すべきだ――中国から亡命したウイグル人の人権活動家がAFPのインタビューに対してそう語った。

 中国で収監されているウイグル人の知識人イリハム・トフティ(Ilham Tohti)氏の娘ジェウヘル(Jewher Ilham)さんは、数千万人もの人々を移動の自由がほとんどない封鎖状態の下に置くといった中国政府の措置の一部を批判。

 ジェウヘルさんはこの厳しい措置について、同国北西部に位置する新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)でウイグル人が長年にわたって直面してきた抑圧的な手法と同様のものと主張し、一般の中国人の間でウイグル人に対する関心を高め、さらなる共感を呼ぶことになるかもしれないと期待していると語った。

 人権活動家らの会合に出席するためにスイスのジュネーブを訪れていたジェウヘルさんは、AFPの取材に対し「標的になっているのはウイグル人だけではない、と中国の市民が認識すべき時だ」と主張。

 ジェウヘルさんの父イリハム氏は2014年、「国家分裂罪」で無期懲役を言い渡された。その一方でこの裁判をめぐっては国際的な非難の声が上がった。

 ジェウヘルさんは一般の中国人たちも、権利を踏みにじられているのは「テロリストたち」だけではないと気付く時だと話す。

「これは宗教の問題ではなく、私たちのアイデンティティーの問題でもありません。これは人権の問題なのです」とジェウヘルさんは語った。

 中国は同自治区にある収容施設で、ウイグル人および他のチュルク語系イスラム教少数民族など、推定100万人を拘束下に置いているとして、国際社会からの非難に直面している。人権団体は、政治的な洗脳や主要民族である漢民族社会への同化を収容者らが強いられていると指摘している。

 中国政府は、一連の施設が、職業訓練と北京語教育を通してテロリズムと闘うために必要な「職業訓練センター」であるとしている。

 その一方で中国当局は、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の拡大を阻止するため、思い切った手段を取ってきた。

 同国中部・湖北(Hubei)省、そして同省の省都であり、新型ウイルス流行の中心地である武漢(Wuhan)の住民約5600万人は、これまでに例のない封鎖措置下にある。

 当局は、症状のある人は誰であれ隔離状態に置くために戸別訪問を開始。これまでのところ、爆発的な世界規模の流行を回避したことを中国政府の功績としている世界保健機関(WHO)からは称賛を得ている。

 だが人権活動家らは、移動および表現の自由に対する締め付けについて警鐘を鳴らしており、また封鎖下にある人々の食料や医薬品へのアクセス機会について疑問符を付けている。