【4月3日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行でフランスの病院では看護師が不足しており、採血を何年もしたことのない熟練の医師や全く初心者の研修生らが、短期集中講座で看護技術を習得している。

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 片手に採血用の小さなガラス管、反対の手に針を持った医学部4年生のエリオットさん(22)は「今まで習ったことはないけれど、仕事の中で覚えていく類いのことだ」と話し、ダミー人形を使って指定量を採取する練習を行った。

 エリオットさんが受講しているのは、前例のない危機の中で直面している看護師不足を解消するためにパリ公立病院連合(AP-HP)が提供している短期集中コースだ。

 心臓専門医も含めた有志のグループに交じり、エリオットさんは採血の仕方や、点滴を開始する方法、また薬の注射などを学んだ。これらは通常、看護実習生が行うものだ。

 普段は看護師1人が集中治療室の患者2〜3人を担当する。AP-HPの訓練コースは3月30日、新たに訓練された医療関係者200人をパリ市内の病院に送り込んだ。

 再訓練を受けた放射線科医(35)は匿名で取材に応じ、「最後にこれをやってから10年はたっている」と言いながら、ダミー人形の腕に注射針を刺した。「でも記憶はすぐに戻る」

 訓練士を務める看護師は、病院での看護について初歩から辛抱強く教える。訓練生は最初に、手袋の定期的な取り替えや消毒など、厳格な衛生基準を守ることの重要性を復習する。これは感染力の強いウイルスを扱う際には特に重要だ。

 次に学ぶのは、患者に止血帯を装着して皮膚を消毒し、血管を見つける方法だ。数分で新たな看護師4人の訓練が完了する。

 指導を行ったある看護師は、「看護の仕事を甘くみてはいけない。特に集中治療室では。すでに医師だったとしても、看護師としての訓練はとても重要だ」と述べた。

 AP-HPの責任者は、パリ首都圏の病院の救急病棟や高齢者介護棟で対応するために、毎日数十人の有志が看護訓練を受けていると述べた。(c)AFP/Alice LEFEBVRE