【4月3日 AFP】英国政府は2日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に伴い、イングランド・プレミアリーグの各クラブがスタッフに対して一時帰休の制度を使ったことで批判を浴びる中、同リーグの選手は減給を受け入れるべきだとの見解を示した。

 トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)やニューカッスル・ユナイテッド(Newcastle United)、ノリッジ・シティ(Norwich City)は、従業員の給与の8割を最大で月額2500ポンド(約33万円)保証するという政府の一時帰休の制度を使う予定だと明かしている。

 給与が高いプレミアリーグ選手の減給についてはこれまで一つも合意に至っておらず、この決定は下院のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会のジュリアン・ナイト(Julian Knight)委員長の怒りを駆り立てた。

 クラブが一時帰休の制度を選手以外のスタッフに適用することは道理にかなっているのか問われたマット・ハンコック(Matt Hancock)保健・社会福祉相は、新型コロナウイルスと闘う上ではすべての人が役割を果たさねばならないと述べた。

 ハンコック保健・社会福祉相は、英首相官邸での記者会見で「それはプレミアリーグの選手も同じ」とコメントした。

「多くの人が痛手を受けていて、国民保健サービス(NHS)にいる私の同志には、出勤して罹患(りかん)し、残念ながら亡くなるというこれ以上ない犠牲を払っている人もいる。プレミアリーグの選手がまずできるのは、貢献して減給を受け入れ、自身の役割を果たすことだ」

 プレミアリーグはイングランド・プロサッカー選手協会(PFA)と協議を行っているが、減給に関して合意には至っていない。

 スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)では選手が70パーセントの減給を受け入れており、イタリア・セリエAのユベントス(Juventus)も、選手が4か月にわたって給与を放棄することを取り決めた。

 ボーンマス(AFC Bournemouth)のエディ・ハウ(Eddie Howe)監督は1日、プレミアリーグで初めて給与カットを申し出た指揮官となっていたが、2日にはブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC(Brighton & Hove Albion FC)のグラハム・ポッター(Graham Potter)監督もこれに続き、今後3か月にわたる「大幅な自主的減給」に合意した。

 しかし、トッテナムが選手以外の従業員を一時帰休させたのと同じ日に、同クラブのダニエル・レビー(Daniel Levy)会長が年700万ポンド(約9億3000万円)の給与を手にしていることが発表されたことで、各クラブは大衆の感覚を理解していないという感情は大きくなった。

 PFAは全クラブに対し、たとえビッグクラブのスタープレーヤーが中小クラブの選手よりもはるかに高い額を稼いでいたとしても、それぞれの選手に対して同じ額だけ減給、給与支払いの延期をするという一様の契約に合意することを強く望んでいる。(c)AFP