【4月2日 AFP】イングランド・プレミアリーグの各クラブが「モラルが欠如している」として批判を浴びている。同国では新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)による経済的打撃を受け、選手以外のスタッフが金銭面の不安にさらされている中、選手の負担を求める声が上がっている。

 昨季の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)で決勝を戦ったトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)、そしてニューカッスル・ユナイテッド(Newcastle United)やノリッジ・シティ(Norwich City)は、従業員の給与の8割を最大で月2500ポンド(約33万円)保証するという政府の一時帰休の制度を使ったことで、反感を買った。

 下院のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会のジュリアン・ナイト(Julian Knight)委員長は、クラブが公的資金を賃金のてこ入れに使うことは「受け入れがたい」と話す。「この事実は英国サッカーのクレイジーな経済状態と、その中心にはモラルの欠如があることをさらしている」

 2500ポンドは、プレミアリーグの多くのスター選手にとってはごくわずかな額だが、ユベントス(Juventus)やFCバルセロナ(FC Barcelona)といった欧州のトップクラブの状況とは異なり、現時点で選手らが減給や給与支払いの延期で合意に達したケースはない。

 トッテナムのダニエル・レビー(Daniel Levy)会長は、プレミアリーグと選手、そして監督の代表による話し合いの結果、「選手や監督がサッカーのエコシステムに貢献」することに期待していると話していた。

 しかし1日に行われたプレミアリーグ、イングリッシュ・フットボールリーグ(EFL)、イングランド・プロサッカー選手協会(PFA)、リーグ監督協会(LMA)による会合では減給などに関して合意には至らなかった。

 プレミアリーグでは、ボーンマス(AFC Bournemouth)のエディ・ハウ(Eddie Howe)監督が1日、同リーグで初めて給与カットを申し出た指揮官となり、クラブはこれを「意義深い」と評している。

 また、ロンドンのサディク・カーン(Sadiq Khan)市長は英BBCに対し、選手は損害を被るべきだと話した。「高給取りのサッカー選手は、最も大きな負担を受け入れることができる人間だ。マッチプログラムを売る人たちやケータリングで働く人たちではなく、自らの給与を犠牲にすべき最初の人々だ」 (c)AFP/Kieran CANNING