【4月2日 AFP】中国当局が、新型コロナウイルス感染患者らの治療薬として、クマの胆汁の使用を承認していたことが分かった。動物愛護活動家らは怒りの声を上げ、世界中に感染が拡大した同ウイルスの発生との関連性が指摘されている野生動物の違法取引禁止の取り組みを阻害する恐れがあるとの懸念も広がっている。

 中国は先に、動物から人へ病気が感染する危険性を理由に、野生動物を食用目的で売買することを禁止した。

 一方で国家衛生健康委員会(NHC)は先月、新型ウイルスの重症患者の治療用として、「痰熱清(Tan Re Qing)」と呼ばれるクマの胆汁の粉末、ヤギの角、薬草3種が含まれる注射液の使用を推奨する指針を発表。

 指針にはこの痰熱清をはじめ、6つの伝統薬が記されている。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席はこれまでにも、中国伝統薬を「中国文明の宝」と呼び、他の治療法と同等に生かしていくべきだとして、その使用推進に力を入れている。

 しかし動物愛護活動家らは、新型ウイルスの発生と、野生動物の取引や消費の関連性が取り沙汰される中で、動物由来成分を含む治療薬を認可するのは「悲劇的で皮肉だ」と指摘している。(c)AFP/Poornima WEERASEKARA