手作りマスクで感染予防はできるのか? 専門家の見解
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【4月2日 AFP】手作りマスクは、何も着けないよりはましなのだろうか。無症状の新型コロナウイルス感染者がどれだけいるのか不明な中、一部の専門家は自作のマスクでウイルスの拡散を防ぐよう人々に助言している。
世界中で医療従事者がマスクなど防護用品の入手に苦慮し、在庫確保が厳しさを増している。保健当局者らは、健康な人がマスクを着用しても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防効果を示す科学的根拠はほとんどないと強調してきた。
しかし、一部の専門家はマスクについて、特に無症状の感染者がせきやくしゃみ、会話、呼吸の際に発したわずかな飛沫(ひまつ)によって他者に感染させるのを防ぐ「バリア」として使えると主張する。
「全員が(マスクを)着用していた場合にのみ、効果がある」と英バーミンガム大学(University of Birmingham)応用衛生研究所(Institute of Applied Health Research)のKK・チェン(KK Cheng)所長は指摘。「もし全員が着用するなら、ごく一般的なマスクがあれば十分だ。ティッシュ1枚で防ぐことができる」「完全ではないが、ないよりはずっとましだ」と述べた。
ただ、自作マスクの効果を示す証拠は乏しい。
香港大学(Hong Kong University)の感染症専門家ベンジャミン・カウリング(Benjamin Cowling)氏は、「手作りマスクが感染を削減できるかどうかは分かっていない。このテーマに関しては、科学的な研究が非常に少ない」と説明した。
2013年に英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)が行った研究では、インフルエンザのパンデミック(世界的な大流行)が発生し医療用マスクが不足した場合を想定。被験者に綿Tシャツからマスクを自作させて調査したところ、即席マスクでも感染リスクを減らせるかもしれないとの結果が出た。ただ、リスクを取り除くことはできなかった。
「われわれの発見では、手作りマスクは感染者からの飛沫感染を防ぐ最後の手段としてのみ検討すべきだということが示唆された。何も保護するものがないよりはましだろう」と論文は説明している。
マスクの使用を推奨する医師らも、手洗いや他人と一定の距離を保つ「ソーシャル・ディスタンシング」といった予防策が最も肝心で、マスクをそれらの代替手段とみなしてはならないと主張している。
世界保健機関(WHO)の指針では、マスクが必要なのは症状のある感染者と、患者の看護に当たる人々だけだとされている。WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン(Mike Ryan)氏は3月30日、「大規模集団におけるマスク着用が特に有用だと示唆する具体的な証拠は存在しない」「事実、その逆を示す証拠が幾つかある」と記者会見で述べている。(c)AFP/Paul RICARD