【4月3日 AFP】新型コロナウイルスを模したコミカルなヘルメット姿で踊っているかと思えば、全土封鎖措置を無視した人々を殴りつける──ウイルス感染拡大を抑えようと、インドの警察は善玉警官と悪玉警官の両方を演じている。

 21日間の全土封鎖を実施しているインドでは、各都市の街頭は1週間以上にわたり、人の気配がほぼなくなっている。

 ベンガルール(Bengaluru、旧称バンガロール)では、交通警察がユーモアで、ドライバーらに外出を思いとどまらせようとしている。赤色と緑色のコロナウイルスを模したヘルメットをかぶった警察官2人が、違反者らの車を路肩に止めさせ、その周りで踊りまくる。同僚警察官らは笛を吹いたり銅鑼(どら)をたたいたりして、ウイルスの襲撃を演出する。

 他にも、スラム街でマスクや手袋を手渡したり、帰省途中の出稼ぎ労働者に食べ物を配ったり、市場に出回っている数百万ドル(数億円)相当の偽物のマスクや殺菌剤を押収したりしている。

■違反者を殴る悪玉警官

 こういった善玉警官の行いの裏で、封鎖が始まって間もなくソーシャルメディアに出回った動画に、当局は困惑させられている。デリー(Delhi)の警察官が、閉鎖措置導入後も開いていた市場の青果商らを殴る様子が捉えられたのだ。

 他の複数の州でも、警察官がドライバーを道路脇で殴打する様子や、閉鎖に違反した人々にスクワットや馬跳びの罰を与えている様子が捉えられた。

 ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州の元警察長官で、デリーを拠点とする権利擁護団体、インド警察財団研究所所長のプラカシュ・シン(Prakash Singh)氏は、この「無神経な」出来事は、警察が「30年から40年前に」使用していたやり方の例で、やめるべきだと指摘。一方で、「人々は自らの便宜のために法律を破りがちだ。そのためにありとあらゆる種類の口実をつくる。そのため、全土封鎖を執行するにはある程度の強制力は求められる」と語った。(c)AFP