【4月3日 CNS】新型コロナウイルス感染の対策のため、マスクは外出や仕事の場で必要なアイテムになっている。しかし、自分の顔認証やSNSにアップしたマスク姿の顔の写真が誰かの手で収集され、ネット上で売られているとは知らない人が多いのではないだろうか。

 ある売り手は「手元には数十万枚のマスク姿の顔写真がある。1枚0.2元(約3円)で売る。10万枚以上のまとめ買いには割引もある」と話している。

 中国インターネット協会法律工作委員会の胡鋼(Hu Gang)秘書長は「顔面データと身分確認は連結されており、もし違法に使われれば、個人や企業、ひいては国家の安全にも損害を与えかねない」と警告する。

 先の売り手は「手元に約2万枚のマスク着用の顔写真がある。半分はネット上で拾ってきたもの、もう半分は日常社会のデータを集めたものだ。ネット上のデータはモデルやネットの公開画像で、日常社会のデータは出勤時や居住区へ出入りした時の顔認証写真だ」と話す。

 また「われわれは日頃、このデータをアルゴリズム演算の訓練用に使っている。もし本当に欲しいなら、マスク着用顔識別アルゴリズムの基本プロセスコードにデータ集をつけて合計1000元(約1万5100円)、顔面データ集も1000元で売る。クラウドデータベースの中にあるので随時接続可能だ」という。

 ある弁護士は「写真は買ってきたものか、顔認証管理システムや勤怠システムに侵入して手に入れたものか、今のところ入手経路は定かではない。ただし公民の顔写真を本人の許可なく入手し、また販売して利益まで得ているのは違法だ。肖像権の侵害に当たる。機器の学習用途以外での使用は、データが借金の信用評価や会社の登記などに悪用される恐れもある」と自身の法解釈を述べている。

 胡秘書長は「身分証明など顔認証データを使うさまざまな行為は、法律で規制すべき。個人情報とプライバシー保護の専門機関を組織し、権限があたえられたものだけ使用を許し、違法使用者に対しては公益的な集団訴訟で懲罰的な民事賠償の追及が必要だ」としている。(c)CNS/JCM/AFPBB News