【3月27日 CNS】新型コロナウイルスの感染が拡大する中、わずか1か月余りで、医療用マスクの「心臓」といわれるメルトブロー式不織布の価格は10倍以上に跳ね上がった。河南省(Henan)では、これが原因でいくつかのマスク製造企業が生産停止に追い込まれている。一方で、普及に課題はあるものの、新たな素材も登場している。

■入手困難な原材料

「この数日で、メルトブロー式の不織布は少なくとも1トン当たり20万元(約310万円)になった。30万~40万元(約465万~620万円)というところも多い。価格は10倍以上に跳ね上がっている」。河南省のある新しいマスク企業の責任者はこう話す。

 業界の専門家によると、メルトブロー式不織布は需要の急増し、供給が追いつかない状況だ。原料のポリプロピレンが不足する一方、新設備の慣らし運転がまだ足りず、フル稼働できるまで通常3~6か月は必要だ。

 不織布の異常な高値に直面した企業は、生産拡大の方策の知恵を絞るほか、代替の材料を探し始めている。

■新材料の誕生

「電界紡糸法によるナノファイバー膜のろ過効果は、メルトブロー不織布に勝るとも劣らないのです」。漯河市(Luohe)東城産業区にある「曼博睿新材料科技」の琚河同(Ju Hetong)董事長は9日、河南医療器械検査所が発行した報告書を手に興奮気味に語った。

 この種の新材料のろ過効率は95%以上に達し、メルトブロー不織布に比べて低価格なだけでなく、生産速度が速いという。すでに正式に生産開始をしており、1日あたり500キロ、マスク50万枚分を生産可能という。

 メルトブロー不織布の代替品は誕生してはいるものの、販売面で市場の受け入れがまだ整っていないという問題がある。マスク企業は、新材料を採用し製品として世に出すためには、政府の部門で審査の手続きを行い、全ての材料と製品を検査のために提出するという仕事がある。

 専門家は「新材料の採用と普及には一定の時間が必要」と言う。実際、新材料のろ過性は不織布に比べはるかに優れている。現在、医療用マスクの需要が依然として高い状況で、政府が審査認証過程の加速化と手続きの簡素化を進め、新しくて高品質な技術が早く普及することが待たれる。(c)CNS/JCM/AFPBB News