【3月25日 AFP】スペインで新型コロナウイルスによる死者が2700人、感染者が4万人に迫る中、同国軍は24日、北大西洋条約機構(NATO)に人道支援を要請した。

 新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が巻き起こっている中でも特に大きな被害が出ているスペインでは、過去24時間で514人が死亡。死者数は計2696人となり、世界で3番目に多い国となっている。

 他の多くの国と同様、スペインも検査や治療に必要な医療用品、医療従事者用の防護具の不足に苦しんでいる。

 NATOによると、スペイン軍は軍内部および民間人の間でのウイルス感染拡大を抑制するための医療用品を求める「人道支援」を要請した。具体的には人工呼吸器45万台、簡易検査キット50万セット、換気装置500台、外科手術用マスク150万枚の要請があったという。

 スペインでは今月14日に異例の非常警戒宣言が発令されたにもかかわらず、死者数・感染者数ともに増え続けており、感染拡大封じ込めのために軍も動員された。

 ペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相は23日、警戒宣言をさらに2週間延長し4月11日までとすることを議会に提案した。

 スペイン厚生省によると、検査を強化した結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された人は20%増加し、3万9673人に上っている。

 外出禁止令が望ましい効果をもたらしているのかどうかは間もなくはっきりするだろうと保健衛生当局は述べている。サルバドール・イジャ(Salvador Illa)厚生相はテレビ中継された記者会見で、「わが国は流行のピークに差し掛かっており、ウイルス禍を克服する第1段階にいるため今週は非常に難しい週だ」と述べた。

 レジェス・マロト・イジェラ(Reyes Maroto Illera)産業相は会見で「われわれは戦時産業、戦時経済について語り始めている。そうせざるをえない」と語った。

 患者数の急増は、スペインの医療システムを崩壊寸前に追いやっている。医療従事者約5400人が検査で陽性と判定されており、感染者の12%を占めている。(c)AFP/Hazel WARD