【3月28日 東方新報】中国では、春節(旧正月、Lunar New Year)はお見合いの季節でもある。若者が実家に帰ったとき、両親にお見合いを勧められるのは風物詩だ。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、春節に帰省しなかった若者も多いが、それでも両親はお見合いを勧めてきた。それも「クラウド」で。

 山西省(Shanxi)太原市(Taiyuan)に住む28歳の女性は、これまでお見合いで多くの異性と会ってきた。しかし、今年は新型ウイルスの影響で、婚活パーティーが相次いで中止になった。両親がインターネットでお見合い相手募集広告を出したところ、35歳の高収入男性が見つかったが、隔離措置が取られている中では直接には会えない。そこで、SNS「微信(ウィーチャット、WeChat)」の動画チャットで「クラウドお見合い」をしたという。

 こうしたネットのクラウドを利用した出会い、お見合いが春節以降、急増中だ。お見合い・恋愛に特化したアプリ「伊対(Yidui)」のダウンロード数は春節以降、従来の1.5倍に急増、1日平均の活動人数は5割増しだという。こうしたお見合いアプリは、従来のマッチングアプリと一味違い、ビデオチャットで友人を交えたり、専属の仲人を間に挟んだりできるほか、他人のお見合いを見学することも可能だ。

 中国のお見合い番組も「クラウド録画」方式を利用している。両親や親友らの場外意見をスマートフォンのライブ動画で撮影してオンラインでつなげ、番組の中で小窓画面や弾幕形式で挿入する。新しい形の「クラウドお見合い」番組として話題を呼んでいる。

 杭州市(Hangzhou)では11日夜、不動産企業の「徳信時光之宸」「杭州19楼」などが主催して「杭州万人クラウドお見合い」が行われた。万単位の独身男女がグループチャットに参加し、ゲームを通じて交流を深め、理想の相手を見つけたという。カップル成立の暁には、新居の不動産販売へと誘導するのが狙いだ。

 新型ウイルスの影響で、オンラインの学習教材やデリバリー、ショッピングといった「巣ごもり経済」「インターネットクラウド経済」が新しい業態として急成長している中、人生の一大事であるお見合い、結婚までもクラウド上で進行するようになってきている。(c)東方新報/AFPBB News