■「戦場さながら」

 中国で発生した新型コロナウイルス流行の現在の中心地となっているイタリアの医療関係者らは、どの患者を救うべきかという厳しい選別に直面している。

 中でも被害の大きい北部ロンバルディア(Lombardy)州のベルガモ(Bergamo)にあるパパ・ジョバンニ23世病院(Papa Giovanni XXIII Hospital)の麻酔医クリスティアン・サラロリ(Christian Salaroli)氏は今月、伊全国紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)に対し、「戦傷外科のようなものだと自分に言い聞かせている…年齢、健康状態で判定される。戦場さながらだ」と語った。

 ベルギー・リエージュ(Liege)の麻酔科医フィリッペ・デボス(Philippe Devos)氏は、危機的状況下においては人工呼吸器の使用は「最も生存の可能性の高い」患者が優先されると語る。「くじ引きのようにならないよう、われわれは可能な限り努めている」と、同氏も判定基準の重要性を強調している。

■倫理的に巨大な負担

 イタリア麻酔鎮痛集中治療学会(Siaarti)は今月初旬、同国北部が医療崩壊の危機に直面する中、倫理指針を発表した。そこには、集中治療について年齢制限を「最終的には設定する必要があるかもしれない」と書かれている。だが、年齢だけを基準にするのは単純すぎると専門家らは指摘する。

 例えば、ギデ氏が集中治療室に入院させた85歳の患者は基礎疾患もなく、それまで全く健康だった。一方、たとえ40代でも、深刻な肝硬変にもかかわらず飲酒を続けている患者を受け入れる余地はないだろうと同氏は説明した。

 新型コロナウイルスに感染した患者が押し寄せれば、トリアージの決定は医師の肩に重くのしかかる。「倫理的に巨大な負担だ」とデボス氏。「われわれは人々を治したくて医療の道に進んだ。誰が生き残れるのかを決めるためではない」 (c)AFP/Amélie BOTTOLLIER-DEPOIS