【3月23日 CNS】中国は、遺伝子組み換えによる新型コロナウイルスワクチン(アデノウイルス媒体)の第1期臨床試験を開始する。中国が独自に開発したこのワクチンは、ボランティア108人に接種される。1グループ36人の計3グループに分けて実施、投与後は14日間の集中隔離を行う予定。科技日報(Science and Technology Daily)が報じた。

 中国臨床試験登録センターの情報によると、試験は、軍事科学院軍事医学研究院生物工程研究所と「康希諾生物(CanSino Biologics)」が行う。目的は、ワクチンの安全性と有効性の測定と評価だ。遺伝子工学的方法で、複製欠陥型ヒト5型アデノウイルスを媒体とし、新型ウイルスのS抗原を作ることができる。

 プロジェクト責任者の中国工程院院士、軍事科学院軍事医学研究院の陳薇(Chen Wei)研究員は、ワクチンの仕組みについて、ウイルスを学習した上で、ウイルスに「手術」を行い「接ぎ木」のような方法を用いて、われわれが必要な媒体となるウイルスに改造し、人体の中に入れて免疫作用を起こさせると説明する。

 公開情報によると、陳薇院士が率いるチームが作り出した遺伝子組み換え新型コロナウイルスワクチン(アデノウイルス媒体)は16日に正式許可を受け、臨床研究段階に入った。

 第1期試験に必要とされるボランティアは多くない。武漢(Wuhan)地区の居住者に限り、武昌(Wuchang)、洪山(Hongshan)、東湖(Donghu)景勝地の18~60歳の住民を優先的に採用。低、中、高の3種の投与量のグループに分け、1グループ36人とする。ワクチン接種後の14日間は集中隔離観察期間とするほか、半年間、医学チームは定期的にフォローを行い、不良反応の有無や体内にSタンパク特異性抗体が発生しているかどうかを見る。

 取材によると、感染予防のため、ワクチンの研究開発者である陳薇院士のチーム7人はすでに緊急策として同ワクチンを接種済み。今のところ、各指標は良好で、処置を必要とする不良反応は確認されていないという。

 ワクチンの有効性検査は、体内に一種の抗体ができるかどうかを見るもので、抗体ができれば、免疫システムが機能する準備が整ったことを意味する。(c)CNS-華西都市報/JCM/AFPBB News