【2月26日 CNS】中国・華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)同済医学院の劉良(Liu Liang)教授が率いる病理解剖チームは25日までに、新型コロナウイルスによる肺炎の死亡患者9人の病理解剖を終えた。うち3例は初歩的な病理診断を終えており、劉教授は「病変は、重症急性呼吸器症候群(SARS)と類似性がある部分と違う部分がある」と述べている。

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 また、「現在の病理診断の結果では、肺の断面に粘液性の分泌物が見られる。これは臨床治療の際に警戒すべき点であろう。治療の際に粘液成分を取り除かず、そのまま単純に酸素吸入を行えば、効果が得られないか、時には逆効果にもなり得る。加圧酸素吸入の時に粘液が肺のもっと奥の方に押し込まれて広がって、呼吸困難をさらに重くすることになりかねない」と話した。

 病理解剖は、劉教授のチームが9人、他の専門家チームが2人行った。男女比はほぼ同数、年齢は60歳、70歳、80歳超、最も若い人は52歳だった。

 このうち3例の初歩的病理診断の結果が出ており、免疫細胞染色や特殊染色などの詳細診断は現在行っているところだという。

 劉教授は、比較的重要な発見があったとした上で「病変は肺の損傷にとどまらず免疫系統やその他の器官にも及んでいるが、具体的には臨床医との意見交換が必要だ」と話した。

 さらに「肺胞が損傷を受け、気道は粘液でふさがれ、臨床上は酸欠が起きたといえる。それゆえ酸欠状態改善のため、気道の通りを良好に保ち、粘液を希釈するか溶かすことが必須となる。効果のある薬物を実際に使い始めているが、さらに数多く試してみることだ」と説明。

「以前、『重篤な新型肺炎患者は急性の心筋炎かウイルス感染などの外因による2次性心筋症を起こした可能性がある』と提唱した学者がいたが、このような可能性は見つかったか」という記者の問いに対し、「まだ確定できず、さらに討論が必要。ただ2次性心筋症の可能性は比較的小さい」との見解を示した。

 劉教授は「新型コロナウイルス肺炎はSARSと類似性もあり、また独特な点もあるので、今後、これを解析するつもりだ」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News