【3月23日 AFP】(更新、写真追加)フランスで21日、新型コロナウイルス感染者の対応に当たっていた救急救命医が死亡した。勤務先の病院がある仏北部オワーズ(Oise)県コンピエーニュ(Compiegne)のフィリップ・マリニ(Philippe Marini)市長が明らかにした。フランスで新型ウイルス対応に当たった医師が死亡したのは初めて。

 マダガスカル出身のジャンジャック・ラザファンドラナジ(Jean-Jacques Razafindranazy)医師(67)は、感染の危険を知りながら自主的に休暇を切り上げて対応に当たり、フランスで最初に新型ウイルスが流行したオワーズ県で流行初期の患者を治療。3月初めに自身も感染し、21日に仏北部リール(Lille)の病院で死亡した。

 家庭医の妻も感染し、現在は自宅隔離下にある。

 フランス保健当局は22日、新たに112人が死亡し、国内の死者は674人になったと発表した。感染が8地域圏の7240人に拡大する中、一部で医療従事者の感染予防装備が不足している。

 オリビエ・ベラン(Olivier Veran)保健相はマスク2億5000万枚以上を発注したと述べたが、医師や看護師からはマスクなしで働かざるを得ない状況だとの声が聞かれる。医師団体は全土に外出禁止令を出すよう政府に圧力をかけている。

 仏国民議会は21日夜、外出制限措置の罰則を強化。違反を繰り返した場合は禁錮6月と罰金3700ユーロ(約44万円)を科すと定めた。また、22日には全土に医療保健上の非常事態を宣言し、新型ウイルス対策をめぐって仏政府により大きな権限を認めた。これにより、政府は企業支援策や統一地方選の第2回投票を7月以降に延期可能になる。(c)AFP/Fiachra GIBBONS in Paris with Zoe LEROY in Lille