【3月24日 AFP】米ニューヨーク市のインターナショナルスクールでフランス語とスペイン語の教師をしているコンスタンス・ドゥボワ(Constance Du Bois)さん(37)は、市内ブルックリン(Brooklyn)にある自宅のパソコンを使って14、15歳の生徒らに授業を行っている。同校の授業がオンラインに移行してから10日になる。

 ビデオ通話でAFPの取材に応じた仏系米国人のドゥボワさんが勤務する「国連国際学校(UNIS、ユニス)」は、全校生徒1600人の私立学校だ。校内の設備は、市内の公立学校に比べてはるかに整っている。

 だが、インターネットに容易にアクセスできる特権的な家族の子どもたちが通い、すでに多くのオンラインコミュニケーションツールを活用している同校でも、オンライン授業に移行するに当たりさまざまな課題があったとドゥボワさんは話す。

 同校の教師らはすでに、春休み明けの4月初旬からオンライン授業を開始する計画を進めていた。だが、教師の1人が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断されたことを受けて、計画は急ピッチで進んだ。教師の陽性反応が知らされるや、オンライン授業のカリキュラムの準備が整うのを待たずに、学校は直ちに閉鎖された。

 最初の難関は技術面の問題だったとドゥボワさんは話す。「数人の生徒とプログラムを試してみたが、実際のところ、私たちはまだこのプラットフォームに精通していなかった」「生徒たちには多くの技術的な問題が発生し、何度もクラッシュ(異常終了)が起きた」

 こうした基本的な問題が解決した後も、さらにより構造的な問題が次々と明らかになったという。

「ビッグブルーボタン(BigBlueButton)」と呼ばれるこのプラットフォームでは、生徒に見えるのは教師のみで、他の生徒を見ることはできない。「生徒たちは学校に戻りたがっている。互いを見ることができずにうんざりしている。非常に孤独を感じている」とドゥボワさんは言う。

 また、教師は授業の準備により多くの時間を取られてしまい、授業についていけない生徒に気付くのも難しくなってしまった。

 こうした問題を克服するため、ドゥボワさんは生徒たちを少人数のグループに分けた。このプラットフォームでは、クラスの生徒たちを「小さな仮想教室」に割り振ることができる。この方法であれば、2~3人の生徒が互いの顔を見ながら話をすることができるという。

 同校では当初、オンライン授業のスケジュールを通常授業の時間割に合わせていたが、教師たちはすぐに「生徒も教師も一日中、コンピューター画面の前に座りっぱなし」だということに気付き、各授業を1時間から40分に短縮したという。

 世界中の大勢の教師らと同様、ドゥボワさんにも、学校閉鎖がいつまで続くのか分からない。分かっているのは、ニューヨークの学校が現時点で再開を予定している少なくとも4月20日までは、オンライン授業を続けなければならないということだ。

「カリキュラムを修了できないのではないかと非常に心配している教師が大勢いる」と話すドゥボワさん。だが、教師が自身の教授法をオンライン授業に合わせる方法を習得できるため、悪いことばかりではない、とも語った。(c)AFP/Eleonore SENS