セルビア人サッカー選手、コソボU-19代表入りで攻撃の的に
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■何も後悔していない
その一方で、コソボのアルバニア系住民の一部では、イビッチを擁護する声が上がっており、地元メディアは国内の同世代で最も才能のある選手の一人と称している。
同国のアルビン・クルティ(Albin Kurti)首相はソーシャルメディアで、「イリヤが望むところで自由にプレーさせてあげよう」とつづり、同選手について「分離」の犠牲者だと主張した。
またコソボサッカー連盟(FFK)は、イビッチのケースについて、アルバニア系の隣国と絆を構築している「同胞に対するセルビア政府の残虐性」を表しているという。
そうした声には米国大使館も加わり、イビッチは「コソボの若者たち全員が懸命に練習し、自身の才能を磨き、夢を追い求める刺激になっている」とツイートした。
コソボではアルバニア系とセルビア系の若者の大半が別々の学校に通い、互いの言葉を話すことはなく、親の世代で始まった分断を強固なものにしている。しかし、イビッチはアルバニア系のチームメート数人を例に挙げ、「僕らは英語も話している。それは状況によってだ」と明かした。
グラチャニツァ郊外にある平屋の自宅では、イビッチを除く家族3人が父親の月給およそ600ユーロ(約7万2000円)のみで生計を立てている。しかし、母親は何も後悔していないといい、「私の関心事は、自分の子どもが大好きな仕事をすること」と地元メディアに語った。
近所に住むセルビア系住民も家族を支援している様子で、ダラ(Dara)と名乗る女性は、「みんなに言いたいのは、お願いだから彼の望むことをやらせてあげてということ」と話した。
イビッチ自身は代表チームへの招集を断る考えは全く見せず、「自分の望みはただサッカーをプレーすること、それだけだ」と語った。(c)AFP/Ismet HAJDARI