【3月30日 AFP】動物も愛情を感じることができるとの考え方は、かつて心理学者らの間で忌み嫌われていた。だが犬に関しては、人間とその最良の友という関係を成り立たせている「何か」を理解する上で愛情というキーワードが不可欠となる──。

 米アリゾナ州立大学(Arizona State University)の動物心理学者クライブ・ウィン(Clive Wynne)氏(59)は、自身の最新著作「Dog is Love: Why and How Your Dog Loves You(犬は愛:なぜ、どのようにして犬はあなたを愛するのか)」の中でそのように主張している。

 ウィン氏は、2000年代初め頃に犬の研究を開始した。当初は他の動物心理学者と同様、犬に複雑な感情があるとみなすのは擬人観という「罪深い行為」だと考えていたというが、その後、無視できないほど増え続ける一連の証拠に突き動かされ、この考えを改めるに至ったと話す。「時に自らの懐疑的な考え方を疑ってみる価値はある」とAFPのインタビューに語った。

 その一方で、犬が特に優れた才能の持ち主というわけではないとも主張する。

 ハトは平面のイメージで異なる種類の物体を識別でき、イルカは文法を理解することが分かっている。そして、ミツバチはダンスを通じて餌場となる花の場所を仲間と知らせ合うのだ。これらの「能力」をめぐってはどれも、犬が習得したということを聞いたことがない。

 その凶暴性と人への無関心で知られる犬の祖先種のオオカミでさえも、人が出す合図に従う能力を示すことが分かっている。

 そこでウィン氏は、犬が持つ「過度の社交性」こそが犬を際立たせている要因だとして、これを事実と断定するための学際的研究を統合するパラダイムシフトを提唱している。