【3月17日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ(John Coates)調整委員長は17日、スイスからオーストラリアへ帰国する前のメディアの取材で、東京五輪の中止または延期の判断に関する期限はないと強調した。

【解説】東京五輪の延期・中止はあり得るのか、新型ウイルス感染拡大で

 スイス・ローザンヌ(Lausanne)に本部を置くIOCは、新型コロナウイルスによる緊急事態で世界のスポーツ界が休止状態に追い込まれ、東京五輪が実施できるのか疑問が増大する中で、同日に緊急会議を開くことになっている。

 先月にはIOCの上級委員であるディック・パウンド(Dick Pound)氏が、最終判断は5月下旬までに下されるとの認識を示していた。しかし、東京五輪の中心人物で、オーストラリアオリンピック委員会(AOC)の会長も務めるコーツ調整委員長は、そうした期限の存在を否定した。

 コーツ調整委員長は、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)に対して、「IOCはディックが言及した、いかなる日にちも把握していなかった。ディックも撤回したと思っている」とすると、「7月24日の開幕へ向けてすべて進んでいる」と主張した。

 その上で、期限があるかのような状況については「IOCの立場を表すものでは決してない。あくまでもディックの考えだ」とし、「大会まであと4か月ある」と述べた。

 安倍晋三(Shinzo Abe)首相とIOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は、ウイルスへの懸念が高まっている中でも、スケジュール通りに大会に向けた準備を進めていくと一貫して主張している。

 17日の電話会議では、今後のアスリート代表や各国の五輪委員会、国際競技連盟との協議に向けて、「情報交換」の準備が行われることになっている。数々の大会が中止や延期になっていることを受けて、会議では特に東京五輪の予選に焦点が当てられるとみられる。

 これから母国で2週間の隔離を余儀なくされるコーツ調整委員長は、「すでに出場権を得た選手も、これからの選手も、今後国際大会に出る機会がなくなるのは厳しい」と認めると、新型コロナウイルスを拡散させずに、アスリートが日本に入るのは難しいだろうとの認識を示した。(c)AFP