■火の明かりの下で診療

 需要はあるが供給がないというギャップを埋めるため、NGO「メディカル・アクション・ミャンマー(MAM)」の医療従事者らはバイク、徒歩、さらには舟も使って人里離れたナガの地域を訪れている。

 村人たちはMAMによって月1回設置される移動診療所の到着を、列を成して待っている。診察は夜遅くまで続くこともあり、しばしば火の明かりの下で行われる。

 一般的な疾病に加え、結核が常に脅威となっている。また、狩猟の伝統がけがの危険性を高めているという。急なヘアピンカーブ、ガタガタの橋をバイクで走り、舟で川を渡って来たMAMの地域責任者ゾー・ミン・レイ(Zaw Min Lay)医師は眼鏡の泥を拭きながら「彼らの生活習慣はけがをしがちだ」と話した。

 MAMの活動が成功するかどうかは、地元で訓練している健康ボランティアのネットワークにかかっている。域内の275の村から各1人が選ばれたボランティアは、鎮痛剤や経口補水塩の配布、結核のスクリーニング、特に重要なマラリアの検査などの訓練を受けている。

 MAMはまた、緊急支援が必要な場合には、最寄りの病院まで患者が苦しみながら歩かなくてもいいように交通手段も手配してくれる。

 世界保健機関(WHO)によると、ミャンマーではマラリアが2010年から2017年で90%以上減少している。遠隔地の保健サービスの大幅向上が、大いに貢献しているという。

 ヤン・ゴンさんは現代医療を受け入れたことで、シャーマンの伝統が廃れてきたと認める。シャーマンは簡単な仕事ではない、鶏、豚、牛など高価な家畜を犠牲にしなければならないからだと話す。それに、ヤン・ゴンさんは年を取り、視力が衰えつつある。

「私は教育を受けた人には、診療所に行くように言っている」 (c)AFP/Richard SARGENT