【3月17日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)は17日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急のビデオ会議を行う。そこでは、今夏に予定されている欧州選手権(UEFA Euro 2020)の最大1年間の延期が決まる可能性があるが、そうなれば競技面だけでなく財政面でも影響が出ることになるだろう。

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 この会議には、UEFAに加盟する55協会の代表者だけでなく、クラブや選手の代表組織のメンバーも参加する予定で、その後の午後2時からはスイスの連盟本部で執行委員会による話し合いも行われる。

 今年6月12日から7月12日にかけて行われ、初めて分散開催になる予定の欧州選手権の命運は不明であり、それは今シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2019-20)とヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2019-20)に関しても同様だ。

 わずか2週間前、オランダ・アムステルダムで行われたUEFA総会でアレクサンデル・チェフェリン(Aleksander Ceferin)会長が考えないようにとくぎを刺した「暗いシナリオ」が、検討されなければならないときがきた。

 新型コロナウイルスの世界的大流行により、欧州のあらゆる主要リーグが先週で中断を強いられており、UEFAも今週に予定されていたチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグのベスト16を延期した。

 欧州選手権の開幕戦はイタリア・ローマで行われることになっているが、同国ではこれまでに1800人以上が亡くなっている。

 イタリアサッカー連盟(FIGC)のガブリエレ・グラビーナ(Gabriele Gravina)会長は、すでに欧州選手権の延期をUEFA側に提案しており、同国代表を率いるロベルト・マンチーニ(Roberto Mancini)監督も、大会の開催を12か月遅らせるよう求めた。

 クラブ大会の再開時期が非常に不透明な中、多くの国が欧州選手権の延期で意見が一致している。

 世界のサッカーに精通するある重鎮は、AFPの取材に対し「UEFAには選択肢がない。彼らは欧州選手権とチャンピオンズリーグを延期しなければならない」とコメントしたが、欧州全体の合意を得るのは簡単ではないかもしれない。

 ドイツ公共放送ZDFによれば、欧州選手権に関しては二つの選択肢が検討され得るという。

 その一つが2021年への延期だが、そうなれば来年6月から7月にかけて中国で予定されている新フォーマットのクラブW杯(FIFA Club World Cup)を国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長が断念せねばならず、実際はそれほど簡単ではない。新たなクラブW杯は多くの収入が見込まれており、欧州のトップクラブも参加することになっている。

 FIFAは16日、この件について「ノーコメント」だと述べた。

 さらに、来年の6月にはハンガリーとスロベニアでU-21欧州選手権(UEFA EURO U-21 2021)が、同7月7日から8月1日にかけてはイングランドで女子欧州選手権(UEFA Women's Euro 2021)が行われる予定だ。欧州選手権の準決勝と決勝はウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で開催されることになっているが、同スタジアムは女子欧州選手権のファイナルの会場にも選ばれている。

 財政面を考えれば、UEFAは完全な中止や無観客での開催よりも、間違いなく延期を望むだろう。ある重鎮は「経済面の利害関係はとてつもなく大きい」「FIFAに十分な備えがあるのは知っているが、UEFAや他の各国リーグについては分からない」と話している。(c)AFP/Andy SCOTT with Eric BERNAUDEAU in Lausanne